エンジンがないのになぜ燃える? トレーラ火災事故が起きる3つの原因

原因その3:「ハブベアリングの破損」

完全に焼損したハブベアリング。焼き付きから火災事故につながった。右は正常なもの(写真:日本自動車車体工業会・加工:フルロード)
完全に焼損したハブベアリング。焼き付きから火災事故につながった。右は正常なもの(写真:日本自動車車体工業会・加工:フルロード)

 主要なトレーラ火災のもう一つの原因が、「ハブベアリングの破損」によるものです。

 ハブベアリングとは「軸受(じくうけ)」のことで、タイヤのついたホイールを組み付ける「ハブ」に内蔵されています。ハブベアリングに組み付けられた多数の「円錐ころ」で、トレーラシャシー側に固定されたスピンドル(車軸の先端部分)を受けることにより、ホイール(+タイヤ)が滑らかに転動するしくみになっています。

 したがってハブベアリングには、トレーラの重量、転動するときの力、路面から入ってくる力などの負荷が掛かります。これが破損してしまった場合、大きな摩擦熱が発生して、ハブベアリングに塗布されたグリース(潤滑剤)を燃焼させます。その高熱が、さらにホイールからタイヤへと伝わって燃えあがるのです。

 ハブベアリングが破損する原因としては、ベアリングの潤滑と冷却の役割があるグリース(潤滑剤)の給脂不良、あるいは劣化によって、ベアリングが焼き付くためとみられています。

 その予防もまた、保守・整備をきちんと行なうことに尽きます。グリースは1年ごとの交換で、給脂作業も適切に行なうことが欠かせません。ハブベアリングの気密性を保つためのハブベアリングオイルシール、ハブキャップシールも、1年ごとの定期交換部品です。

トレーラの法定点検・分解整備記録簿。エンジンのないクルマでも、これだけ点検・整備を必要とする箇所があるのだ
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