エンジンがないのになぜ燃える? トレーラ火災事故が起きる3つの原因

「ブレーキの引きずり」とは?

国交省が制作したトレーラ火災実験の動画『トレーラ火災の原因と防止について』より。ドラムブレーキが炎に包まれている
国交省が制作したトレーラ火災実験の動画『トレーラ火災の原因と防止について』より。ドラムブレーキが炎に包まれている

 「ブレーキの引きずり」が起きる原因には、『ブレーキシステムに混入した水分の凍結』と『ブレーキ部品の劣化』の2つがあるのですが、先に「ブレーキの引きずり」でなぜ火災が発生するのかを解説しましょう。

 「ブレーキの引きずり」とは、トレーラの車輪にブレーキが掛かった状態のまま走行してしまうことです。それによりブレーキ部品が赤熱するほど高温となり、その熱がホイールを伝って可燃物のタイヤを着火させます。この段階になると消火もたいへんで、トレーラの荷台へと延焼し、積荷を焼いてしまうことになります。

 トレーラのブレーキシステムは、それを構成する配管や部品に異常・破損が起きた場合、非常ブレーキが自動的に掛かるように設計されています。「ブレーキの引きずり」は、システムの異常に気づかずにトレーラを走らせた際や、あるいは走行中に配管・部品が破損した際に発生してしまうトラブルなのです。

トレーラのブレーキシステム(写真:日本自動車車体工業会)
トレーラのブレーキシステム(写真:日本自動車車体工業会)

次ページは : 原因その1:水分凍結による「ブレーキの引きずり」

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