顧客からのフィードバックで使い勝手を向上
第1世代のGenH2による顧客トライアルは、ダイムラーの開発チームにも貴重なフィードバックをもたらしている。これはNextGenH2トラックでの改善に直接的な影響を与えたといい、ユーザー目線での使い勝手を向上した。
キャブの後ろに配置する「テックタワー」の省スペース化はその代表例だという。テックタワーは液体水素を扱う場合に必須となる冷却系の装置などを収めたものだが、このエリアが大幅にコンパクトになった。
その結果、ホイールベースは従来型より150mm短縮され4000mmとなった。これくらいのホイールベースだと、様々なトレーラと組み合わせた時に連結全長をEUの規制内に収めることができるので、多くのトレーラとの互換性が確保され、運送会社にとって柔軟な運行が可能になる。
(余談だが、トレーラの互換性はBEVトラックで問題になっており、一部のメーカーでは大容量バッテリーを搭載するスペースを確保するためBEVのホイールベースがかなり長くなっている)
テックタワーはボイルオフ(気化ガス)管理システムなど水素を扱う場合の規制要件にも適合しており、これには閉鎖空間への駐車時の要件なども含まれている。統合された冷却システムは、外気温が非常に高い時や過酷な地形でも常に安定して作動することを保証するものだ。
極めてまれなことではあるが、水素の漏れを検知する新しいセンサーシステムが搭載され、ドライバーはキャブ内のベッドでオーバーナイトすることが可能になった。これで車中泊をしながら複数日に渡る運行を行なう長距離ドライバーも、燃料電池トラックを運行できるようになる。
さらに、新設計の装備として追加されたのがクラッシュエレメントを一体化したサイドパネルだ。側面衝突などの事故発生時に液体水素タンクを守るためのものだが、パネルには空力特性を向上したトレッドプレートが取り付けられており、安全性を向上しながらタンクへのアクセス性を確保し、同時に空気抵抗も低減するという実用的なアイテムとなっている。
ドイツ政府も資金提供
なお、ダイムラー・トラックは2025年にスイスアルプスでNextGenH2のプロトタイプを試験しており、その様子は一部公開されている。
アルプスの極限環境下で行なった冬季・夏季の試験は、厳しい運用シナリオでの信頼性を確保するためで、得られた知見は今後の開発に反映する。
2026年末以降を予定しているNextGenH2の実践配備は、開発・製造とともにドイツ連邦運輸省と同国のラインラント=プファルツ州、バーデン=ヴュルテンベルク州が支援しており、総額2億2600万ユーロ(約415億円)の資金が提供されている。
ダイムラーは2030年代初頭にも燃料電池トラックの大量生産を始めることを目標としている。
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