自動車の安全性を星の数でわかりやすく評価するNCAP(新車アセスメントプログラム)だが、欧州では2024年に大型トラックまで対象を拡大している。
その第3回目の評価結果が公表され、初めて電動の特装系トラックが5つ星を獲得した。最高評価に輝いたのはスカニアのローエントリーキャブ「Lシリーズ」のBEVだ。
また、安全性には妥協しない姿勢を貫くボルボFHの通常版(「FHエアロ」ではない世代)や、第1回で最低評価だったイヴェコ車、欧州市場に参入しているフォード・トラックス車も評価され、ユーロNCAPは大型トラックの安全性を競う「健全な競争」をメーカーに促している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Euro NCAP・Scania CV AB・AB Volvo
スカニアのバッテリーEVトラックがユーロNCAPで最高評価
2024年に評価対象を大型トラックまで拡大した欧州の新車アセスメントプログラム「ユーロNCAP」だが、2026年1月20日に第3回目となるトラック安全性評価の結果が発表された。
純電動のバッテリーEV(BEV)トラックとしては初めて、スカニアの「Lキャブ」塵芥車(ゴミ収集車)が最高評価となる5つ星を獲得した。
ユーロNCAPは2024年に長距離輸送用の大型トラクタの安全性評価を実施し、2025年には大型リジッド系カーゴ車の評価を行なっている。2026年1月公開の最新版では初めてユーティリティ(特装)系トラックとしてスカニアのLキャブの塵芥車が評価された。
併せてボルボの通常の「FH」シリーズ(欧州などで展開する「FHエアロ」ではなく日本市場などにも投入されているタイプと同型)や、2024年版では最低評価だったイヴェコ「S-ウェイ」の再評価、そしてトルコのフォード・トラックス製「Fマックス」が初めての評価を受けた。
塵芥車など公共セクターのトラックは市民生活に欠かせないサービスを提供するいっぽう、日常生活への「近さ」は、オペレータと道路利用者の双方にとって潜在的な危険でもある。
ストップ&スタートを繰り返し、混雑する道路で頻繁に追い越され、車両の近くで作業をする必要がある塵芥車は、メーカーが安全な車両を設計する上でも課題が多い。こうした課題を克服する上で、スカニアのLキャブBEVトラックが、ユーロNCAPの最高評価である5つ星と、都市部での安全性を証明する「シティ・セーフ」認定を獲得したことは注目すべきことだ。
アセスメントは、Lキャブの6×2リジッドシャシーにゴミを圧縮するボディ構造を備えた塵芥車架装で実施した(Lキャブは他の構成でも利用可能)。パワートレーンは270kW出力の電動モーターによる純電動だ。GVW20トンの特装トラックは良好なパフォーマンスを示し、安全運転と衝突回避についても高く評価された。
その理由の一つは、利用可能なドライバー補助システムの全てをスカニアは同車のオプションとして提供していることだ(ユーロNCAPは安全オプションを全て備えた状態で評価する)。こうしたシステムが、混雑する道路で発進・停車が多い状況でもトラックドライバーを効果的にサポートしているという評価だ。
注目すべき機能としては「ジオフェンス」による速度制限、自転車等が接近している時にドアを開こうとすると警報を発するサイクリスト・ドアリングなどがある。
同時にスカニアのローエントリーキャブとなるLシリーズでは、トラックの基本設計においても安全性を中心に据えた開発アプローチが採られている。
例えば、キャブマウント位置の低さはドライバーの視界を大幅に向上する。これは都市部や郊外での運転には極めて重要だ。大型車のリアビューミラーには運転席からは見えない死角が存在し、こうした環境では特に問題となりやすいが、従来型のミラーに加えてカメラモニタリングシステムを追加したことで、車両全周の視界を提供している。
また、緊急時の自動ブレーキ(AEB)は、二輪車巻き込み回避にも効果的に対応しており、都市部での利用が多い車両だけに非常に重要な機能となっている。ユーロNCAPは衝突後の保護機能(レスキュー)についても要件を定めているが、スカニアは電動モデルでもこれに適合した。

