二つの技術、一つのゴール
ダイムラーは液体水素と気体水素の両方を供給できるステーションの開発を支援している。これは「ガソリンスタンドがガソリンと軽油を提供するのと同じ」と説明しており、このアプローチのほうがインフラの統一によりコスト削減につながるという。
水素エンジンでは気体の水素を利用するが、ダイムラーが開発中の燃料電池トラックは液体水素を採用しており、将来的には内燃エンジンでも液体水素への「進化」も考えられる。
水素技術の普及に関して、需要がなければインフラ整備が進まず、インフラがないと需要も増えないというジレンマがあり、2027年末以降を予定する水素エンジントラックの大規模導入が、この局面を打開できるか注目される。
また、ダイムラーは商用車の脱炭素化において、当初から電気駆動と水素駆動の両方を追求するデュアルトラック戦略を採用している。
それぞれの棲み分けについて同社は、バッテリーEV(BEV)は長距離輸送を含め予測可能なルートを走行する際に特に適しているといい、多くの用途はこれでカバーできるとする。
燃料電池は柔軟な運行や、より条件の厳しい輸送で優位性を持つといい、液体水素との組み合わせにより、短い燃料補給時間で1000kmを超える航続距離を達成できることを実走行により証明した。
いっぽう水素エンジンには、燃料電池と比較してシステムが複雑にならず堅牢であるという利点がある。既存の(ディーゼル車の)車両構造に良く適合し、高い積載量を必要とする用途や、架装等のスペースが必要な特装系の用途にも活用できる。ボディは従来のものを利用できるので、上物を含めたコスト効率が高い。
鉄鋼業界などエネルギー集約型の産業が脱炭素化を進める際にも水素技術が不可欠とされるほか、大型車の電動化が進むと電力網への負担が大きくなり、水素の必要性はかえって高まると予想される。このためダイムラーは、高圧送電網だけに頼るより、電気と水素のインフラを平行して整備するほうが費用対効果が高く、結果的に脱炭素化という同じ目標をより早く達成すると説明している。
さらに、近年では地政学的な理由も化石燃料への依存を減らす動機となっている。再生可能エネルギーから製造でき、枯渇することのないエネルギーキャリアである水素は、安全保障を強化する可能性を秘めている。
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