チェコのタトラが同社初となる純電動のオフロードダンプを公開している。民生用の他、軍用としても定評のある伝統のチューブラーフレームは健在で、電気駆動でも高い走破性を誇る。
インフラへのアクセスが限られるオフロード車は特に電動化が難しい車両だが、様々な代替駆動技術を提案することで脱炭素の可能性を模索しているようだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Tatra Trucks
タトラ初の純電動オフロードダンプ
オフロードトラックの名門でチェコに本社を置くタトラは2026年8月18日、公式ユーチューブチャンネルを更新し、同社初の純電動オフロードダンプを公開した。
車両は昨年11月にプラハの展示会で発表された「タトラ・フォース・eドライブ BEV 8×8」プロトタイプで、最大出力550kW(738hp)の電気モーターが、2つのトランスミッションを介して8輪を駆動する総輪駆動ダンプである。
タトラはフォース・eドライブシリーズで代替駆動技術の開発を続けている。今回のBEVは同シリーズの第3弾となり、初めての純電動車だ。高電圧系(駆動用の電気系統)の実装を担当したのはデヴィン社だという。
一般的に、トラックのフレームはハシゴ型(ラダーフレーム)で、ここにボディを架装する構造となっている。いっぽうタトラのトラックは、背骨のようなチューブ状フレームが代名詞となっており、車軸をスイングアームで支持するハーフアクスルと併せて高いオフロード性能を発揮する。この構造は最新のBEVでも健在で、昨年の発表時、同社テクニカルディレクターのヤクブ・ポンチク氏は次のように話していた。
「タトラ・フォース・eドライブBEV 8×8は建設業や鉱山開発など、最も過酷な地形で純電動トラックの可能性を示すことを目的としています。本日発表したプロトタイプ車両は、中央のバックボーンチューブと、スイング式独立ハーフアクスルを備えるタトラ製シャシーに、8輪総輪駆動のダンプトラックとなっています」。
もちろん、欧州の一般安全規則(新GSR)に対応するタイヤ空気圧監視システムなど最新の法規にも対応する。タトラ・フォースシリーズの2ドアキャビンを拡張したもので、ロールオーバー(横転)プロテクションと落下物プロテクションを備える。また、バックミラーの代わりにカメラシステムを備えたのも特徴の一つだ。
オフロード車で代替駆動の可能性を模索
車両諸元としては、全長8.6m・全高は2.9mで、連続出力330kW(最大出力550kW)、トルク2300Nm(最大トルク2600Nm)を発揮するダンフォス製の電気モーターを搭載する。合計12個、総容量にして480kWhの駆動用バッテリーを搭載しており、バッテリーの温度管理のための電子モジュールなども備えている。航続距離は最大400kmだ。
このモーターはイートン製の電気駆動用4段オートマチックトランスミッションに接続し、ここから更にタトラ製のセカンダリートランスミッションと複数のディファレンシャルギアなどを介して各輪に駆動力を伝える複雑なパワートレーンを持つ。前2軸+後2軸の8x8総輪駆動車だ。
フォースシリーズの第3世代シャシーをベースとしており、前2軸は操舵軸兼パートタイム駆動軸となる。スタビライザーとアクスルディファレンシャルを備えるエアサスで、それぞれの耐荷重は10トン。
リア2軸は常時駆動軸となり、耐荷重はそれぞれ13トンだ。エアベローズ付きの複合サスペンションと、アクスルディファレンシャル/アクスル間ディファレンシャルを備える。
シャシーは荷重センサー付き電子ブレーキシステムと、泥濘地の走行に適した全輪ドラムブレーキが装備され、ペイロード22トンを含む車両総重量は44トン。18トンのトレーラをけん引することも可能だ。
2023年以降、プロトタイプとして順次発表されているフォース・eドライブシリーズの代替駆動システムだが、最初のモデルは水素燃料電池を搭載するFCEVの8x6ダンプだった。第2弾はプラグインハイブリッド(PHEV)の8x8で、今回の第3弾がBEVという形だ。
他にも発電専用の補助内燃機関によるエクステンデッドレンジEV(EREV)など、新たなプロトタイプ車両の開発に取り組んでいるといい、単純な電動化が難しいオフロード車で代替駆動技術による脱炭素の可能性を模索している。
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