英国のオークションに現れたのは、フェラーリ250GT SWBを思わせる姿に変身したBMW Z3。外装から室内まで往年のイタリアンGTを再現しながら、直列6気筒エンジンやエアコンなど実用性は健在。本家とは異なる愛嬌も魅力の一台を紹介する。
文:古賀貴司(自動車王国) 情報元:historics
【画像ギャラリー】フェラーリ250SWB“ルック”のBMW Z3、その他の画像(7枚)画像ギャラリーBMW Z3が纏った伝説のGTの姿

去る9月、イギリスのオークションハウス「ヒストリクス」で一台のクルマが落札された。車名は「イタリアン250SWBトリビュート」(正式名称ではない)で、落札額は3万2,032ポンド(約670万円)だ。
正体は2000年式のBMW Z3 3.0、しかもMTである。“トリビュート”と聞くと流行りのレストモッドを思い浮かべるかもしれないが、コスプレに近い。
ドイツのロードスター(正確にはアメリカ製だが…)がイタリアの服を纏ったかのようだ…。250GT SWBは1959年のパリ・サロンでデビューした、フェラーリ250GT SWB(ショートホイールベース)である。
ホイールベースを従来の2,600mmから2,400mmへ詰めたことが「SWB」の名の由来だ。デザインはピニンファリーナ、架装はスカリエッティで、生産台数は資料により165〜176台と幅がある。
ここで数字を並べると面白いことがわかる。Z3のホイールベースは2,446mmで、“本家”との差はわずか46mmしかない。全高もZ3の1,293mmに対しSWBは1,290mm前後と、ほぼ横並びだ。
一方、全長はZ3のほうが100mmほど短い。この寸詰まりこそが本家との決定的な違いになる。ノーズからテールへ流れる伸びやかさは、どうしても本物に及ばない。
だが、それが悪いとは限らない。写真を見ると、ちょっと背伸びした子犬のような愛嬌がある。似せきれていない部分が、かえってこのクルマの“味”になっている。
英国製キットで再現した往年の美
製作者の名は明かされていない。わかっているのは、60年代の欧州GTに長年憧れてきたエンジニアだということだけだ。
ボディにはイギリスのトリビュート・オートモーティブ製のFRPパネルを用いてボンネット、トランクリッド、フェンダーを交換してルーフラインまで改造されている。
実はこのボディ、一品物ではない。トリビュート・オートモーティブをはじめ、イギリスでは複数のカスタムショップがZ3ベースの“コスプレ・キット”を販売していた。
なお、前者のサイトからはこのキットの掲載が消えているのは、誰からかクレームでも入ったのだろうか?
もとい。プロポーションと時代感の再現に心血を注いだうえで、アッズーロ・カリフォルニア・ブルーに塗り上げている。
伝統的なフロントグリル、補助灯、当時風のドアハンドル、スピンナー付きワイヤーホイールが並ぶ。
室内はダッシュボードが作り変えられ、250GT SWB風の計器類を装備し、黒革とナルディのステアリングが奢られている。一目でZ3がベースだと気づく人はいないだろう。
それでいてエアコン、パワーウィンドウは残されているので日常の足としてのポテンシャルは高い。








コメント
コメントの使い方