2024年問題を錦の御旗にするな!! 大型トラックの最高速度の引き上げ論の「不都合な真実」

トラックの事故が急激に増えている現実

トラックが第一当事者となった事故件数は下げ止まり傾向となっている
トラックが第一当事者となった事故件数は下げ止まり傾向となっている

 そして現在、実は事業用トラックが第一次当事者となる事故が増えているという事実がある。

 国土交通省が毎週公表しているメールマガジン「事業用自動車安全通信」によると、今年半年間で昨年の総数に迫る事業用トラックの交通事故が発生しており、死者数・負傷者数も増えているのだ。

 昨年1年間の事業用トラックが第一当事者となる事故の発生件数は25件で、死者は27名、負傷者は24名。それに対して今年半年間(1月~6月)だけで、事故の発生件数は18件で、死者は21名、負傷者は58名という状況である。

 前年同月比で比べてみると、件数は+8件、死者は+13名、負傷者に至っては+55名という結果である。

 この中から高速道路の事故事例を見てみよう。

【2月28日23:00静岡県】
 静岡県の高速道路において、宮崎県に営業所を置く大型トラックがサービスエリアから本線に合流するための加速車線に停車していたところ、後方から走行してきたトラックが追突した。この事故により、トラックの運転手と同乗者が死亡した。停車していた大型トラックの運転者にケガはなかった。

【3月13日4:30広島県】
 広島県の高速道路に高速道路において、岐阜県に営業所を置く大型トラックが、事故を起こして停車していた軽自動車(1)に追突し、更にその前方の道路左側の路肩に停車していた軽自動車(2)に衝突した。この事故により、双方の軽自動車に乗っていた2名が死亡した。なお、当該大型トラックの運転者にケガはなかった。

【3月27日2:20三重県】
 三重県の高速道路において、大阪府に営業所を置く中型トラックが運行中、前方の軽自動車(1)に追突し、更に後方から走行してきた三重県に営業所を置く大型トラックが、軽自動車(1)に追突した。またこの事故で、大型トラックの積荷(ペットボトル)が反対車線に散乱し、その影響により当該車線を走行していた軽自動車(2)と乗用車が衝突した。

 この事故により、中型トラックの運転者および軽自動車(2)に乗っていた2名の計3名が死亡、軽自動車(1)の運転者が重傷、大型トラックの運転者、軽自動車(2)に乗っていた1名及び乗用車に乗っていた2名の計4名が軽傷を負った。

【4月11日0:55岐阜県】
 岐阜県の高速道路において、愛知県に営業所を置く大型トラックが中央分離帯に衝突した。この事故により、運転者が負傷した。かけつけた警察官が運転者にアルコール検査を行なったところ、呼気よりアルコールが検出された。運転者は運行途中に購入した酒を飲んだ模様。

【5月16日20:15宮城県】
 宮城県栗原市の東北自動車道下り線において、宮城県に営業所を置く乗客40名を乗せた貸切バスが車両故障により路肩に停車していたところ、当該貸切バスに青森県に営業所を置く大型トラックが追突した。この事故により、貸切バスの乗客2名と運転者1名の計3名が死亡、大型トラックの運転者1名が重傷を負った。

【6月7日17:30広島県】
 広島県庄原市の高速道路において、岡山県に営業所を置く大型トラックが対向車線にはみ出し、対向してきた中型トラックと衝突した。この事故により、大型トラックの運転者と中型トラックの運転者の2名が死亡し、中型トラックの同乗者1名が軽傷を負った。事故現場は片側1車線の直線道路であった。

 今年半年間の事故事例なので、あるいはニュースなどでご記憶の方もいるかもしれない。大型トラックの重大事故は近年は減少していたのだが、危惧すべきことは、ここ最近下げ止まりが見られ、今年から反転して増加に転じているという厳然たる事実である。

 こうした中で、大型トラックの最高速度の引き上げを推進することが本当に適切なのかどうか?

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