ダイムラー・トラックは「メルセデス・ベンツ」ブランドの大型バッテリー電気(BEV)トラック「eアクトロス」3台による欧州一周のセールスツアー「JOURN.e」が完了したことを発表した。
3台のeアクトロスは道中で14回のカスタマーイベントと、1000人のゲストによる1250回の試乗を行ない、5000kmを走破した。充電は、大部分を公共の充電ステーションを利用し、大型BEVの実運用に向けてインフラ整備が進んでいることもアピールした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
BEVトラックでセールスツアーを完走
ドイツの大手商用車メーカー、ダイムラー・トラックは2023年7月26日、メルセデス・ベンツブランドのBEVトラック3台によるセールスツアー「JOURN.e」の完遂を発表した。
(旧ダイムラーグループは2022年に商用車部門をダイムラー・トラックとして分離させたが、分離・独立後も乗用車と同じくスリー・ポインテッド・スターを冠する「メルセデス・ベンツ」をブランドとしている)
3台の大型BEVトラック「eアクトロス」はドイツを出発し、オーストリア、イタリア、オランダ、ベルギーを走り、再びドイツに入ってヴェルト・アム・ラインにあるダイムラーのヴェルト工場に帰った。ツアーの走行距離は5000kmを超えたという。
このツアーを通じてベンツは14のカスタマーイベントを開催し、1000人以上のゲストによる1250回以上の試乗を実施した。ツアー中、eアクトロスのバッテリーは、ほとんどを公共の充電ステーションを利用して充電した。
公共の充電ステーションを利用するのは、欧州で大型BEV用のインフラ整備が進んでいることをアピールする狙いもあるとみられ、メーカーは大型BEV商用車による輸送の電動化に向けて自信を深めている。
なお、eアクトロスによるロードショーの様子はユーチューブでも公開されている。
メルセデス・ベンツの「eアクトロス」トラックによるセールスツアーのハイライト
集配用トラックのeアクトロス300/400
約6週間のツアーに参加した3台のBEVトラックのうち、2台は「eアクトロス300」(4×2駆動)で、残りの1台は「eアクトロス400」(6×4駆動)。
これらの集配送用大型BEVトラックがヴェルト工場からラインオフしたのは2021年だった。バッテリーパックは3基(eアクトロス300)または4基(eアクトロス400)で、一基当たりの容量は112kWhとなる。eアクトロス400の場合、航続距離は最大400kmとなる。
BEVの技術的な核心部分となる駆動系には電動アクスル(eアクスル)を採用し、ここに2基のモーターと2段のトランスミッションを組み込んだ。水冷式のモーター出力は2基合わせて330kW(連続)/400kW(最大)となる(馬力に換算するとそれぞれ443/536hp)。
これに加えて運転の先読み制御によるエネルギー回生を行なう。ブレーキによって回収したエネルギーはバッテリーに戻され、再びeアクトロスの走行用エネルギーに利用される。
メルセデス・ベンツ・トラックスのマーケティング・セールス・サービス担当、シュティナ・ファーゲルマン氏は次のようにコメントしている。
「eアクトロスによるロードショーは全面的な成功を収めました。お客様と直接意見を交換できたことは、私たちにとっては何よりも貴重な経験となりました。
お客様は、それぞれが従事している幅広い分野にわたって、気軽にEVトラックに試乗することができ、また、弊社の電動化の専門家による包括的なコンサルティングを受けることもできました。同時に、厳しい地形にもかかわらず、私たちのeアクトロスは自信を持って静かにツアーを完遂しました」。
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