「2024問題」の時もそうでしたが、トラック業界では当事者であるトラックドライバーの声を聞くということが疎かにされているように思います。マスメディアにも取り上げられことが多くなったトラックの自動運転もまさにそう。
そこで長距離ドライバーであるひろしさんに自動運転トラックをどう思っているか聞いてみました。
文/長距離ドライバーひろしさん
写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
*2026年3月発行トラックマガジン「フルロード」第60号より
現場を知らない人たちの机上の空論では?
国やメーカーはトラックの自動運転化に向けて動いてるようですが、そんな簡単に実用化できるとは到底思えません。本当に実現できるのでしょうか? 現実的に考えても「一部で実用化可能」ってのが現実的ではないでしょうか? メディアや有識者は、トラックが自動運転化できれば、運送業界の人員不足解消、労働時間の削減などメリットしかないような発言をしています。あいも変わらず現場を知らないお気楽な人達だなと思っています。
トラックメーカーも自動運転化に向けて躍起になっているように思いますが、本当に業界を良くするために動いてるのかな? メーカーとしての実力を世に知らしめるためだけにムキになっているのではないのかな?
その前に今あるトラックの性能向上というか、壊れない・壊れにくい車両を作るのが先じゃないですか? 昨今のトラックは電子制御化が進み、一見性能が向上したように思えますが、昔のトラックに比べすぐに故障する気がします。
また、電子制御化されているので、コンピュータがエラー起こしたら手も足も出ない状態になります。エラーが出た状態で修理に持って行けるといいのですが、修理に持って行く時にエラーが消えてしまった場合、結局原因不明で「様子見て下さい」ってなることが多いです。
今のトラックだって故障したらお手上げなことが多いのに……
去年起きた僕の話ですが、茨城県某所に向けて運行中、目的地まで数kmに迫った県道にて、いきなりギアが抜けて(オートマなのでDレンジ状態のままNになり)身動き取れなくなりました。朝方の通勤ラッシュ時の対面Ⅰ車線の県道だったため、大渋滞と大迷惑を掛けることに……。
すぐにディーラーに連絡しましたが、営業時間外だったのでディーラー直轄のサービスが来てくれました。1時間ほどして到着したサービスは、何やらタブレットのような物を車両に繋いで故障原因を探っていましたが、結局「原因不明」。現地ではどーしよーもないってことになり、そこからレッカー手配して、さらにまた2時間くらい待ち、ディーラー工場に入庫した時には昼過ぎでした。
ディーラーで故障原因が判明するまでに丸2日かかり、ミッション系のコンピュータ不良で部品が無いとかなんとかで即修理することはできないため、そのまま茨城のディーラーに3週間ほど入院していました。
昔のトラックならばそこまでコンピュータに頼りっきりではなかっただろうし、部品さえあれば交換して修理完了って感じだったでしょうけど、今の電子制御されまくった車両は繊細すぎるのか壊れたらタチが悪いです。こういうことも頻繁に起こるため、自動運転化に向けて躍起になるのもいいけど現状走ってる車両に不具合が出ないように努力してほしいもんですね。
恩恵を受けるのは、せいぜい大手の路線屋くらいでは……
自動運転化ができる時代が来たとしても、運転手の職は無くならない、減らないと思います。どのレベルで実現するのかにもよると思いますが、高速のインターの直近にターミナル作って、高速道路を使用したターミナル間輸送のみ可能、これが実現可能な範囲じゃないでしょうかね。
ターミナル間輸送で恩恵受ける運送会社ってどれくらいなんでしょう。大手の路線屋くらいしか使えないと思いますけど。きっと車両価格も高いでしょうし、中小運送会社が買える代物とも思えません。
それに日本の道路は工業地帯や幹線道路を除けば狭いです。積み地や荷降ろし地の構内も広々とした場所ばかりじゃありません。そんな場所を自動運転車両が行き来する未来とか想像できないと思います。自動運転で運送業界が変わるなんて、いつもの机上の空論だと思います。
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