いよいよ台風シーズン到来! といっても、最近は春先から台風が発生しているし、大雨による洪水や降雪による立ち往生など異常気象による災害が多発しているので、一年中気が抜けないというのが本当のところかもしれない。
異常気象はトラック輸送にとっても一大事だ。ライフラインを支える使命もあるが、トラックドライバーの命や健康を損なってはならないので、輸送できるかできないか判断に迷うところである。
異常気象時に必要な安全確保を怠って運行した事業者は行政処分の対象となるが、事業者やドライバーが輸送は困難な状況と判断しても、荷主に「運んでくれ」と強要されたらどうしたらいいのか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真・図/フルロード編集部・国土交通省
異常気象時の措置の目安
国土交通省は2020年2月、輸送の安全を確保し、持続的な物流機能を維持するため、台風等による異常気象時における輸送の目安を通達として定めている。
この背景には、昨今の台風などの異常気象時において、トラック運送事業者が輸送の安全を確保することが困難な状況下で荷主に輸送を強要され、トラックが横転するなどの事故が発生した事例があったからである。
輸送の目安によると、「20~30㎜/h」の降雨時はワイパーを速くしても見づらいため、輸送の安全を確保するための措置を講じる必要がある。
「30~50㎜/h」では、高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)ことから、輸送を中止することも検討すべき。また、「50㎜/h以上」はクルマの運転は危険なので、輸送することは適切ではないとしている。
暴風時に関しては、「10~15m/s」では道路の吹き流しの角度が水平になり、高速運転中には横風に流される感覚を受ける。「15~20m/s」では高速運転中では横風に流される感覚が大きくなるとしており、ともに輸送の安全を確保するための措置を講じる必要がある。
「20~30m/s」では、通常の速度で運転するのが困難になるため、輸送を中止することも検討すべき。さらに「30m/s以上」では走行中のトラックが横転することもあることからから、輸送することは適切ではないとしている。
このほか、大雪注意報が発表されているときは必要な措置を講じるべき。濃霧や風雪等で視界が概ね20m以下であるときは輸送を中止することも検討すべき。警報発表時は輸送の安全を確保するための措置を講じた上、輸送の可否を判断すべきとしている。