国交省が「道路におけるカーボンニュートラル推進戦略」中間とりまとめ! トラック業界にも影響が大きそうなその内容は?

脱炭素のためにも避けられない物流の効率化

国交省が「道路におけるカーボンニュートラル推進戦略」中間とりまとめ! トラック業界にも影響が大きそうなその内容は?
日本のCO2総排出量のうち、「道路利用」(主に自動車からの排出)が約15%を占める

 物流については脱炭素だけでなく、働き方改革による「物流の2024年問題」や人手不足などもあり、従来型のトラックによる輸送から、輸送量の向上と輸送の効率化のための新しい輸送形態へのシフトが求められている。

 そのための施策として中間とりまとめは次のようなものを挙げている。

ダブル連結トラック
 1台で従来型のトラック2台分の輸送が可能なダブル連結トラックは、深刻なドライバー不足を背景に欧州に倣って国内に導入されたもので、対象路線では全長25メートル級の長大なトレーラが運行可能となった。

 省人化や輸送の効率化、走行時のCO2排出量削減などの効果が期待されるが、物流事業者による利用を促進するためには、利用環境の整備を推進する必要がある。

 具体的には、運行状況や事業者のニーズを踏まえて、対象路線(迂回区間として有効な区間等) の拡充を検討するとともに、ダブル連結トラックに対応した駐車マスの整備や、特殊車両通行手続きの迅速化を図るなど、ダブル連結トラックの利用環境の整備を推進する。

新たな物流システムの導入検討
 平時・災害時を問わない安定した物流の確保、並びに物流の効率化のため、車道以外の道路空間(中央帯・地下等)を活用した新たな物流システムの利活用の可能性や、自動化等の新技術を活用した新たな物流形態の実現に向けた方策などを検討し、物流の効率化を進め、CO2排出量の削減を行なう。

自動運転トラック
 自動運転の実現に向けて、自動運転車用レーンを設定し、合流支援情報や工事規制情報の提供等に関する取組を推進する。

 また、高速道路のSA・PAにおいて機能高度化施設(自動運転車両の拠点施設)と一体で整備される駐車場の整備費用の一部を支援する制度も活用しながら、官民で役割分担して高速道路における自動運転の拠点整備を推進する。

 併せて、新東名や東北道等において自動運転車用レーンを設定し、合流支援情報や工事規制情報の提供等に関する取組を推進することで、車両の最適な制御による交通の適正化を図る。

中継輸送
 物流事業者が中継輸送を実施することにより、ドライバーの労働環境改善等につながるとともに、物流の効率化等によるCO2排出量の削減が可能となることから、拠点整備等により中継輸送の実施環境の整備を推進する。

モーダルシフトとの連携
 トラックによる輸送に比べ、大量輸送が可能な鉄道や船舶の輸送はCO2排出量が少ない。一般に500km以上の長距離輸送でこれらの輸送手段が優位になるとされるが、最近は300km程度の中距離から鉄道・船舶を利用するモーダルシフトの例が増加している。

 こうした背景を踏まえ、貨物の利用量・取扱量の増加が図られるなどの機能強化を行っている空港、港湾、貨物駅等の交通拠点へのアクセス道路の整備を支援することで、トラックとモーダルシフトの連携を図り、CO2排出量の削減を行なう。

電動化のほか規制・基準の見直しも……

国交省が「道路におけるカーボンニュートラル推進戦略」中間とりまとめ! トラック業界にも影響が大きそうなその内容は?
NLJのセミナーより日野自動車の「Z FCV」燃料電池トラック

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 もちろん、走行時にCO2を排出しない電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCEV)等、次世代自動車の開発・普及促進もカーボンニュートラル戦略の一部だ。

 電気や水素等のクリーンなエネルギーを使用する次世代自動車の普及には、引き続き自動車メーカー等による研究開発が重要で、次世代自動車の普及促進に向け、経済産業省等の関係機関と連携し次世代自動車の開発を促進する。

 特に、トラックなど大型の次世代自動車の普及に向けた後押しを行なうため、物流拠点を結ぶ主要な道路などを対象に、大型の次世代自動車の寸法等の大型化の動向を確認した上で、車両の幅や長さ等の一般的制限値の緩和や道路構造の基準見直しなどを検討する。

 いっぽう、内燃機関により走行する車両は、走行速度の低下によりCO2排出量が増加することから、道路ネットワークの整備や渋滞ボトルネックの対策等により旅行速度の向上を図ることで、CO2排出量の削減が期待できる。

 逆に、生活空間における自動車は低速度化・進入抑制を促すことで「生活道路は人が優先」という意識の社会的浸透を図り、場所に応じた適正な移動方法を選択できるような環境を整備する。

 欧州ではロンドン(英国)の「超低排出ゾーン(ULEZ)」による基準未満車に対する課金と「渋滞税」の徴収に代表されるように、乗り入れ規制を行なう都市が増えているほか、アムステルダム(オランダ)のように内燃機関車の禁止を前倒しする都市もある。


 道路分野では、現在の排出量と2030年度の削減目標、そして最終目標年である2050年のカーボンニュートラルとの間に大きなギャップがある。今後はCO2削減量の数値目標設定も含めて具体化を図り、施策のロードマップ等を検討して、2023年度中に最終とりまとめを行なう予定。

 また、この中間とりまとめは、他分野との共創領域の深掘りや関係機関との更なる連携を行なうために必要な取組をまとめたものでもある。

 取組の具体化に当たっては、社会的・技術的な動向を踏まえつつ、財源の確保、民間による投資の促進等も含めて検討・実施し、その後のフォローアップを通じてさらに取組を加速させていくとしている。

【画像ギャラリー】CO2排出削減に重要な「ダブル連結トラック」と「ゼロエミッション車」(NLJのセミナーより)(7枚)画像ギャラリー

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