タダノは、世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR-250N」を2023年12月8日から発売する。国内で最も需要があり汎用性の高い、吊り上げ性能25トンクラスのクレーン車だ。クレーン作業と走行の全てを電動で行ないつつ、従来のディーゼルエンジンモデルと同等の走行性能・クレーン性能を有する。
これによりクレーン車の走行や作業で発生していたCO2排出量をゼロにするとともに、快適な走行、メンテナンス性の向上、静粛性の改善など、新しい付加価値も併せて提供する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/株式会社タダノ
世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR-250N」
クレーン車の製造で大手の株式会社タダノは、世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR-250N」を2023年12月8日(金)より発売開始した。販売価格は1億4800万円(税別、装備により価格は変動する)だ。
これに先立って「EVOLT(エボルト)発売お披露目式」を開催したほか、特設サイトを公開している。なお、EVOLTは「EVOLUTION+VOLTAGE」からなる造語で、タダノの電動化製品ラインナップの共通シリーズ名となる。
EVOLT eGR-250Nは、クレーン作業と走行の全ての操作をバッテリーからの電力だけで稼働する、吊上げ性能25tクラスのラフテレーンクレーンで、同社によるとフル電動での実用化は世界初となる。
吊上げ性能25tのラフテレーンクレーンは、日本国内で最も需要が高く、汎用性も高いクラスになるため、この度、日本市場へ投入する運びとなった。
従来のディーゼルエンジンを搭載したモデルと同等の走行性能とクレーン性能を有し、満充電状態で平均的な1日のクレーン作業が可能だ。充電時間は、急速充電で約2.5時間、普通充電で約8時間となる。急速充電方式は日本で普及が進んでいるCHAdeMO方式を採用し、普通充電はAC200V三相商用電源だ。
フル電動化により、これまでの走行とクレーン作業で発生していたCO2排出量をゼロにするだけでなく、快適な走行、メンテナンス性の向上、そして大きく改善した静粛性など、これまでになかったラフテレーンクレーンの新しい付加価値を提供することを目指している。
ちなみに従来型のラフテレーンクレーン(GR-250N)1台の年間CO2排出量の平均値は、走行12トン・クレーン作業15トンで合計約27トンだという。
タダノは地球環境の改善、脱炭素社会の実現に貢献するための取り組みを「TadanoGreen Solutions」と名付け、2050年のネットゼロとなるカーボンニュートラルの実現、2030年に製品におけるCO2排出量を35%削減することを目指している。
今回のEVOLT eGR250Nもその一環であり、長期環境目標の実現のための第1弾製品となる。今後は海外向けのラフテレーンクレーン、高所作業車、クローラクレーン等、他のカテゴリ製品の電動化にも着手し、環境対応をリードして行く。