欧州の老舗運送会社が支援する「ピーク・エボリューション」チームは、電動トラックで世界一高い活火山として知られる南米・アンデス山脈のオホス・デル・サラード火山に登り、電気自動車による到達高度6500メートルという世界記録を達成した。走行には車両に搭載するソーラーパネルで発電した電力のみを用いたという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Gebrüder Weiss・PEAK EVOLUTION
EVの世界記録を達成
オーストリアに本社を置く老舗運送会社、ゲブルダー・バイスなどが支援する「ピーク・エボリューション」チームが電動車両による到達高度で世界記録を樹立した。
チームはソーラーパネルからエネルギーを得るオフロード用の電動トラックを開発し、南米オホス・デル・サラード火山(標高6893メートル)の6500メートル地点まで到達した。これにより電気自動車による到達高度という世界記録を更新した。
オホス・デル・サラードはアコンカグアに次ぐアンデス山脈の第2峰で、チリの最高峰であり「世界で最も高い活火山」としても知られている。その西稜線を電動のトラックで攻略した。走行に使ったのはソーラーパネルで発電した電気のみだ。これまで電動車両は(トラック以外でも)この高度に到達していない。
ピーク・エボリューションのCEOで開発者のパトリック・コラー氏は次のようにコメントしている。
「これは単なる電動技術のための記録ではありません。私たちの長年の研究開発と、モビリティの未来のための記録です。この成功により代替駆動技術が注目を集め、鉱山開発をはじめとするオフロード商用車の厳しい輸送環境に活用されることを願っています」。
チームの輸送パートナーでメインスポンサーを務めたのがゲブルダー・バイスで、開始当初から支援を行なっている。資金提供に加えて、欧州のスイスから南米のチリまで車両を運搬した。
同社でコーポレート・ブランド戦略&コミュニケーションを担当するフランク・ハース氏は次のように述べている。
「輸送・ロジスティクス分野で世界最古の企業である弊社は、モビリティの未来にコミットしています。今回の記録達成は、持続可能なモビリティと技術革新への私たちの支援を象徴しており、このチームを誇りに思うとともに、今は記録達成車を安全にスイスに持ち帰ることに専念しています」。
なお、500年を超える歴史を持つゲブルダー・バイスは世界最古の物流企業ともいわれている。
そのルーツは、現在のドイツ南部リンダウから、オーストリア、スイスを経てイタリアのミラノまでヨーロッパアルプスを超えて手紙を運んだ古代の郵便配達人「リンダウのメッセンジャー」とされる。高所への挑戦は創業以来のビジネスというわけだ。