日本車にとって世界的な全幅の拡大は大きな問題である。もはや軽自動車を除いては日本市場専用車が作れない中、各社とも日本市場への適合に苦心している。最新モデルに見る幅の問題について今回は探っていきたい
今月発表・発売の「カローラクロス」。日本仕様のカローラシリーズで初の全幅1800mmを超え、1825㎜に達する。それでもグローバルでみれば「並」の広さなのだが・・・日本でも受け入れられるのか??
カローラクロスのインパネ。デザインはカローラシリーズ共通のもの。全幅はシリーズの中でも最大ながら、SUVならではの見晴らしの良さで車両感覚を掴みやすくし、運転しやすさを訴求している
日本仕様のカローラセダン。カローラスポーツはグローバルカローラと共通の全幅(1790mm) だが、セダンとツーリングは市中の取り回しを考慮し、1745mmに抑えられている 。メーカーもギリギリの線を狙っていることが伺える
C-HRもカローラと共通のプラットフォームであり、全幅は1790mmとなる。デザインを優先しスペシャリティ性の高いフォルムだ。ただその分視界に制約はあり、車幅感覚は掴みづらい
11代目カローラアクシオ。日本での小型車枠を超えないように、プラットフォームをヴィッツベースに降格させてまで、全幅を1695mmにこだわったモデルだ。その利便性から、今も現行カローラと併売中で根強い人気を誇る
昨年登場したヤリスも小型車枠である全幅1695mmを堅持。4m以下の全長との組み合わせで取り回しは抜群に良い
欧州のBセグコンパクトに比べるとナローなサイズながら、日本車らしい緻密なレイアウトにより、室内幅はそん色ない。ハイブリッド車もラインナップされており、欧州でも人気に火が付いた
インプレッサも3代目以降完全に1700mmを超えたモデルとなった。現行モデルは1775mm。ただし幅広になったからといって、運転のしやすさへのネガな話はあまり耳にしない。何故だろうか?
スバルには運転時の視界確保のための社内規定がある。そのため、デザイン優先で犠牲にもなりがちな視界を十分に確保し、安全性や安心感を高めている
カローラスポーツ。こちらはグローバルカローラと同様に全幅1790mmとなる。グローバルではこの全幅が標準となる
カローラツーリング。全幅は1745mmに抑えるとともにホイールベースもカローラスポーツと同一の2640mmとすることで取り回しの良さもアピールしている。ちなみにグローバル仕様でのホイールベースは2700mmである
カローラツーリングの室内。こちらは全車共通のため、全幅の広いカローラクロスと比べても、見た目の違いは、ほとんどない
クラウンも日本の高級車として全幅にこだわりを持ったクルマである。全長が約4.9mに対し、全幅はジャスト1.8mと現代の高級車としては幅が狭いモデルとなっている。よって日本専売とならざるを得ないのも事実だ
先代のBMW3シリーズも、なんと日本仕様として全幅1.8mに抑えていた。日本でも一定のマーケットを持っているからこそ、市場の声を反映した形だ
新型レガシィアウトバック。レガシィは日本で誕生の後、北米で大ヒット。そのため、モデルが進化するたびに全幅も徐々にワイド化した。7代目となる新型は1875mmに。堂々としたスタイルだ
ヤリスクロス。ベースとなるヤリスが1695mmに対し1765mmとワイド化している。ワイド化によりSUVらしい踏ん張り感が強調されたスタイルを実現
新型ヴェゼル。ベースのフィットがヤリス同様1695mmに対し、やはり1790mmと約100mm近くワイド化。ただし全高は1580mmに抑えられ、よりクーペ的なフォルムとなった
ホンダの登録車の売れ筋である「フリード」も小型車枠に収まるモデルだ。コンパクトなボディに7人乗れる丁度よさが日本ではヒットする要素となる
ミドルサイズのミニバン「ヴォクシー」も標準車は1695mmを維持。しかし、売れ筋のエアロバージョンは1730mmと若干拡幅する。来年登場の新型はどうなるのであろうか?
セレナも同様の考え方でハイウェイスターは1740mmとなる。日本の小型車枠を目いっぱい使い切って作られたモデルのため、見た目を少し変えるだけでも普通車へサイズアップしてしまうのだ