■ドリフトでMFG関係者を驚愕させる
『MFゴースト』の作中では、主人公である片桐夏向の操る主役格のモデルとして登場。ライバルたちのマシンは海外のハイパワーモデルが多いことに対して、いかんせんトヨタ 86は非力である。
しかし、MFG第1戦「小田原パイクスピーク」の予選では、夏向は初参戦ながら16位につけて善戦。レギュレーション違反で1名失格者が出たために繰り上がりで決勝レースに出場すると、大胆かつクレバーなレース運びを見せて9位でフィニッシュ。オーディエンスやMFG関係者を驚愕させた。
そして、第2戦の「芦ノ湖GT」では、最初から期待と注目を集めるなか、またも予選で素晴らしい走りを披露する。その要因は、第1戦終了後にチューナーの奥山広也によって、足まわり、吸排気、ブレーキなどのチューニングが施されたこと。奥山が目指したのは「しなやかにストロークさせて、タイヤのグリップを使い切ったところからさらに粘るような」足まわり。あくまでもサーキット向けでなく、公道レース向けのセッティングである。
夏向と86は、予選6日目に登場した。芦ノ湖GTのコースはアップダウンが少なく、比較的フラットで、非力な86にとって不利なレイアウトと思われたが、スタート後にゆるく上った最初のチェックポイントで、いきなり13位のタイムを記録する。次に火山灰の細かな粒子が路面に付着した通称「死神(デスエリア)」では、なんと師匠である藤原拓海の「ゼロカウンタードリフト」を披露! これには作中の人物だけでなく、読んでいるこちらも歓声をあげてしまう。
経過タイムの順位が、10位、9位、8位…そして7位と上がっていくのにあわせて、こちらも俄然テンションが上がっていく。コースの最後エリア、ゴール前の長いストレートやヒルクライムではひとつ順位を落としたものの、最終的には予選順位を8位で確定。この予選における片桐夏向の壮絶な走りは、夏向自身の評価を高めただけでなく、MFGの”パワー至上主義”に終止符を打つものとなった。
■今後の活躍次第では歴史に残るクルマになれる
そのあと第2戦終了後、86はエンジンにターボを装着することになるが、こういった部分がトヨタ 86の真価であり、そのバリューを示すものでもある。チューニングのベースとして優れたクルマであること、そして、アンダーパワーのモデルでハイパワー車たちを打倒するという戦い方は、かつてのAE86トレノを彷彿させるではないか。
なおリアルワールドでは、2021年に新型である「GR86」が発売されている(名称が変更された)。エンジンは先代型同様水平対向4気筒ながら、排気量は2.4Lへとアップされ、全体的なバランスを崩さずに戦闘力を向上。
今後、『MFゴースト』の作中に、この新型GR86が登場するかどうかについては(2022年1月現在)まだ不明だが、もし夏向のマシンが GR86へ変更されたとしても、コントローラブルでドライバーファーストなモデルであることは変わらない。
『頭文字D』という伝説のマンガが存在したことで、国産スポーツカーのなかでもシンボリックなモデルとなったトヨタ 86。同車がAE86型トレノのように、日本車の歴史に残るモデルになるか否かは、MFGにおけるこれからの夏向の活躍にかかっているのかもしれない。
■掲載巻と最新刊情報
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