伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、13巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破した。
同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第8回となる今回は、トヨタのフラッグシップスポーツ、新型スープラを紹介したい。『頭文字D』に登場したA80型とは違い、A90型(新型)は主役級の扱いで登場する。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■衝撃だったトヨタとBMWの共同開発車
もし20年前に戻って峠を走る若者たちに、「トヨタとBMWがタッグを組んでクルマを作った」と伝えることができたら、いったいどれだけ驚かれることだろう。さらに、その車種がスープラだと教えても、きっと信じてもらえないに違いない。それくらい驚愕の事象が現代に起きている。
スープラといえば、1970年代のセリカXXに端を発するトヨタの代名詞とも言えるスポーツGT。北米でも販売されて人気を博し、そのマッシブなスタイリングと痛快な走りは日米で多くのファンを惹きつけてきた。そんなスープラも2002年に生産終了となり、トヨタは一時的にグローバルで販売するスポーツモデルを失っていた。
そして2019年、満を持して17年ぶりに復活した5代目モデルは、前述のように、トヨタとBMWとの共同開発で生まれた。プラットフォームを新型BMW Z4と共用し、エンジンはBMW製造の直列6気筒ターボエンジンを搭載する(直列4気筒ターボもあり)。なお製品名としては、2021年に発売された「GR86」に先立って「GR」が付けられ、「GRスープラ」となっている。
歴代スープラ同様「ロングノーズ・ショートデッキ」スタイルだが、そのデザインは、CALTY(キャルティ)と呼ばれるカリフォルニアのデザインスタジオで制作された。ボリューミーだったA80型スープラの正当進化でありながら、抑揚のある複雑なラインで構成され、筋肉質な雰囲気が強調されている。
さらに、ホイールベースの短かさも特徴で、それは初代86と比較しても短く、歴代モデルで初めて2シーターになっている。オーバーハングが前後ともに長くなっているため、一見、大きなクルマだと思われがちだが、実はコンパクトな設計であり、この時点ですでにコーナリング時の運動性能の高さが推察される。
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