イースより20kg軽いアルトエコ。燃費も圧倒かと思われたが……
最大トルク発生回転数が5000回転と高速型のイースに対し、アルトエコは最大値が4000回転。ギヤリングもMTに例えれば、イースはハイギヤード、アルトはローギヤード。そのため、イースは出足が鈍く、市街地などで加速がモッサリ。
いっぽうのアルトは、比較的キビキビしているというのが第一印象。これなら期待できそうと思った次第。
でも、これは一長一短。スピードがのってくれば、イースのほうがエンジンノイズも耳に軽くなり、燃費もよくなる。アルトエコのほうは、ノイジーになり燃費も思いのほか伸びない。
まして、アルトエコはアクセルを踏み込んでも加速するまでタイムラグがあり、一体感のなさが目立つようになった。
それと、乗り心地が悪い。整備された路面ならともかく、条件が悪いととたんに弱点を見せる。フットワークは、明らかにイースのほうが勝っている。アルトエコの145/80R13インチタイヤの限界といえなくもない。
車重はイースより20㎏も軽いので、当然燃費は大幅に上回ると思っていた。ところがなんと15km/L台。
高速道路を走っても、アップダウンもあり、交通の流れもあるのでアクセル一定というわけにはいかず、長時間走っても最高18km/Lどまり。最後の郊外路での計測では17.8km/Lを記録したが、総合的には16km/Lにとどまった。
カタログ値37km/Lのニューアルト、気になる実燃費は?
それでも、今年1月にニュー・アルト「X」に乗り替えたのは、試乗フィーリングがよかったから。
前車と比べると、スタイルも引き締まっているし、燃費もカタログ値37km/Lとのこと。これならさすがに前車よりもすべてが勝っているのではと、またまた期待をかけた。
8カ月ほど乗ってみて、確かにレベルアップしていて、軽自動車としてよくできていると思う。前車と比べ、改善方向にあるが、アクセルオンでのタイムラグと、エアコンのカビ臭さはなんとかならないものか。
さて、最大の関心事である燃費は、現時点でのトータルで14.6km/L。またかという思いである。これはもう誇大広告だ。
3台にわたって30km/L台の軽自動車に乗ったが、実用値からかけ離れた数値はユーザーへの裏切りだ。途方もないこのカタログ値は、クルマ自体と、メーカーのイメージをおとしめる。
3車ともに、いたってリーズナブルだし、その意味においてはよくできた軽自動車だ。カタログ値だけは何とかしてほしい。
ダイハツ ミライース
- グレード:X
- 2012年3月購入
- 走行距離:5000km
- JC08モード燃費:30.0km/L
- 実燃費:約14km/L
- JC08モードに対する達成率:約46.7%(実燃費の幅:13から15km/L程度)
スズキ アルトエコ
- グレード:S
- 2014年4月購入
- 走行距離:3800km
- JC08モード燃費:35.5km/L
- 実燃費:約16km/L
- JC08モード燃費に対する達成率:約45.1%(実燃費の幅:15から18km/L程度)
スズキ アルト
- グレード:X
- 2016年1月購入
- 走行距離:1300km
- JC08モード燃費:37.0km/L
- 実燃費:約15km/L
- JC08モードに対する達成率:約40.5%(実燃費の幅:14から17km/L程度)
横越光廣
モータージャーナリスト。1967年に二玄社(カーグラフィック編集部)に入社。 1971年からはフリーランスのモータージャーナリストとして活躍する。
代表的な著書に『わが青春の名車たち』などがある
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