予定どおりならば昨年秋には発売されているはずだった待望の新型車「プリウスPHV」が、2月15日にやっと発売となった。
今回のプリウスPHVでは、EV走行距離が従来モデルよりも2倍以上となる68.2kmを達成しており、先代モデルで指摘されていた数々の弱点が改善されて登場している。
文:WEBベストカー/写真:WEBベストカー
次世代のエコカーの本命は「PHV」
2月15日に都内で行われた新型「プリウスPHV」の発表会。その会場にはいつもにもまして多くの報道陣が集まり、関心の高さが伺われた。
そしてオープン前にステージに掲げられていたのが、このフレーズ。「ハイブリッドの次は、なんだ?」である。
そう、アンベールされて登場する「PHV」こそが、ハイブリッドの後継となるとアピールするための演出であった。
当日の会見では、初代プリウスの開発責任者である内山田竹志会長が「ハイブリッド車の次は何だと問われれば、PHVであるというのがトヨタの答え」と力強く語り、強い意欲を示した。
トヨタはつい先日、同社のハイブリッド車の世界累計販売台数が1000万台を突破したと発表したばかりだが、内山田氏は「PHVが1000万台を達成するのは、ハイブリッドがかかった約20年よりも早いのではないか」と述べた。
先代の弱点を克服して巻き返す
今後はエコカー戦略の比重をPHVへと移行させていく」という姿勢を見せたトヨタだが、実は2012年に発売した先代プリウスPHVの販売成績はけっして良好なものではない。
目標とする年間販売台数3万5000~4万台に対して、1万台程度にとどまってしまっている現実があった。その原因をトヨタはこう分析する。
「プリウスHVに比べて、価格が高い上に、魅力的に思える差別化が少なかった」と。今回の全面改良には、こうした弱点克服が随所で行われている。
その一番のポイントは、EV走行距離の大幅アップだ。先代モデルの26.4kmから68.2kmと、“2倍超”を達成しており、日常使いならば、ほぼEVモードだけで使えるレベルになっている。
しかも、加速力を大きくアップさせるデュアルモータードライブシステム採用する。これは、従来のモーターに加え、ジェネレーター(発電用モーター)をモーターとして活用。モーター2個ぶんの駆動力で力強い走りを実現している。
初代プリウスPHVでは、急な坂道や急加速では頻繁にエンジンがかかるという指摘があったが、新型ではEV走行のまま、135km/hまで一気に加速することも可能だ。
さらに充電システムも充実。一般家庭の配線で、そのまま充電することも可能。100Vなら約14時間とやや時間がかかるものの、大きな工事の必要がない。
さらに200Vに対応させれば、約2時間20分での満充電が可能だ。また、急速充電では、20分で約80%の充電が可能と、利便性も高めてある。
そして、ついに太陽光を走るエネルギーとして使うことも可能とした。量産車では初となるソーラー充電のシステムを、SとS“ナビパッケージ”にオプションで装着可能。走行中、駐車中を問わず、太陽光を活用できるのだ。
また新型プリウスでは、外部給電機能として「EV給電モード」が追加されている。エンジンをかけずに家電などが利用でき、エンジンとの併用となる「HV給電モード」では、1500Wの出力で2日間の電力供給を可能としている。
デザインでも、ノーマルのプリウスHVとの差別化がより図られている。プリウスHVよりも、フロントとリアのオーバーハングを拡張して、より伸びやかで、車格感をアップさせている。
また、フロントは4眼LEDヘッドランプを使いシャープで先進的な印象に、リアは2つの膨らみを持つダブルバブルウインドゥを採用。リアの深い膨らみを実現するために、カーボン素材を使用するなど、技術とこだわりが詰まったデザインとなっているのだ。
コメント
コメントの使い方