新型ランクルFJの注目度がハンパない。コンパクトなうえ、お値段もきっとお手頃となる見込みで、まさにファン待望の存在。ランクルの名を冠しているものの、走破性はどんなものなのか!? 足回りからわかった性能をランクル専門家が予測してみた。
文:河村大/写真:トヨタ・ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】一目瞭然すぎ!! エンジン位置違うゾ!! 新型ランクルFJと70、250、そして300と一挙比較!!(8枚)画像ギャラリー対地アングルこそ大事!! 生きて帰ってこられるランクルのこだわりがスゴい
新型ランドクルーザーFJは果たしてどんな走りをするのか? モビリティショーでプロトタイプを見た! という方は大勢いらっしゃると思うが、その走りを見た人は対外的には「皆無」と言われている。 今回はその隠された走りの性能を、特に「オフロード」に限って予想してみたい。
まずは外観から。私はオフロードを走る前に、必ず車を真横から眺めてその対地アングルを確かめるようにしている。なぜなら、どんなに優れた走破性を備えた車でもボディーヒットの限界以上の走りは難しいからだ。
もちろんランクルでは、ヘッドランプやラジエターが損傷しないよう高い位置に取り付けられ、前後オーバーハングの低い位置に、壊れたら支障を来すような代物は一切配置されない。
だから前後の樹脂バンパーが大きく傷付いても、あるいはもげてしまったとしても「生きて」は帰ってこられるようになっている。事実、オフロードのテストのために車両の前後バンパーを外したような写真は幾度か見たことがある。
だが実際には、バンパーをゴリゴリ当てても気にならないような人は少数派。大多数のドライバーは僅かなボディーヒットで気持ちが萎縮して、クルマの実力を下回るような走りしかできなくなる。だからこそ対地アングルなど外観から判断できる要素は、一見些末な問題に見えてその実、クルマの走破性を語る上で外すことができない大切な項目なのだ。
デパーチャアングルはランクル300より圧倒!! スタックしづらいカタチだった
この点ランクルFJはかなり優れた素性を備えている。発表時の真横の画像にランクル70や250、300の写真を等倍で重ねてみるとアプローチアングルは他の3車とほぼ変わらず、デパーチャアングルはランクルFJが兄弟達を圧倒していた。
これは、ひと度段差を越えてしまえば、バックしようが何しようが後にはほとんど注意を払わなくてもいいことを示している。感覚的には40系や70系のショートモデルのオフローディングに近い。
なお、ランプブレークーバーアングルに関してはホイールベースが短いこともあり、他の3兄弟より優れた値になっているに違いない。亀の子スタックになりづらいということだ。
フロントミッドじゃないゾ!! ランクルFJだけエンジン搭載位置はまったく違う!!
だが横から見ていてひとつだけ気が付いたことがある。それはエンジン搭載位置の違いだ。ランクルは初代モデルから伝統的に縦置きのエンジンをフロント・ミッドシップに配置してきた。
エンジンの重心位置をフロント車軸より後に置き、ミッションやトランスファー、時には燃料タンクなどの重量物を車体中央付近に配することで三次元地形を走るオフロード車としての運動性能を高次元で確保してきた。
250や300系のボンネットが長すぎる、と言う人もいるかも知れないが、これはトヨタがエンジンの搭載位置にこだわった結果。ランクルはやはりオフロードの走や運動性能を優先する設計思想の上に成り立っているのだ。
ところが、ランクルFJのベースとなったIMV、ハイラックスをメインとする多目的車のシャーシーには、エンジンをフロントミッドにレイアウトする思想はない。ベアシャーシーの写真を見ればよく分かるが、エンジンの重心位置はフロント車軸より前にある。
このためランクルFJは他のランクル3兄弟に比べ、フロントのオーバーハングが長い。それでも同程度のアプローチアングルを確保できたのは、フロントバンパーを高く設計したからだろう。
ランクルには開発担当者に向けた10か条の心得があり、「現行型同等またはそれ以上の性能を有すること」という条文もあるが、新型車の設計においても、有効な対地アングルの確保にかなり気を遣ったものと思われる。
半面、エンジンが前にあることで得られたメリットがある。それはボンネットを短くできたこと。そして限られた全長の中で、車室空間をある程度確保できたこと。短いホイールベースに4枚のドアを収める必要があったランクルFJにしてみれば、エンジンが端にあることはある意味必然でもあったワケだ。
ただ結果として、前後の重量配分は他の兄弟に比べフロントヘビーの傾向が強くなるだろう。マスの集中化も兄弟のレベルに至らないはずだ。でもだからこそ、重量の軽い2.7リッターのガソリンエンジンがこのクルマにマッチする、と言うこともできるだろう。フロント車軸の前に重たいディーゼルを積めば、さらにフロントヘビーになるからだ。











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