注目の省燃費&軽量化エンジン
新型スーパーグレートでまず注目されるのはダウンサイジングされた新エンジンだろう。現行車は排気量12.8Lの6R10型を搭載しているが、新型は新開発の10.7Lの6R20型と7.7Lの6S10型の2機種がラインアップされる。
いずれも、すでにヨーロッパで販売しているメルセデスベンツ製エンジンのプラットフォームをベースとして日本市場向けに開発されたもので、6R20型には最適化されたアシンメトリックターボ、6S10型は2ステージターボとの組み合わせにより、小排気量ながら大型トラックとして充分なパワー&トルクを実現している。
この新エンジンの最大のポイントは「軽量化」である。現行型スーパーグレートは燃費性能には定評があるものの、車両重量でライバル車にやや遅れを取っていたのは否めないところ。
車両が重くなれば相対的に積載量が少なくなるわけで、ダウンサイジングエンジンは最重要テーマでもあったのだ。新型車は、エンジンで最大540kg軽量化、さらにミッションやボディを合わせて最大815kgの軽量化を実現している。
また、新開発ミッションなどの効果も加わり、燃費は5~15%向上したという。
なんと全車AMTを搭載! MTは消滅する!!
新エンジン以上に驚いたのがミッションだ。すべての車型に2ペダルのAMTが搭載される。MTは設定さえない。三菱ふそうは、大型路線バスで全車AT化という思い切ったラインアップを展開しており、それに続く大胆な2ペダル戦略といえるだろう。
大型トラック、バス業界は構造的なドライバー不足に悩まされており、その対策としてMTに比べて運転操作が容易で安全性も高く、ドライバーの技量による実燃費の差がでにくい2ペダルの導入は時代の趨勢とも言われている。
ただ、MTに”誇り”を持っているベテランドライバーも多く、また事業者サイドでのMTの”燃費性能神話”も根強い。スーパーグレートの全車2ペダル採用ははたして業界でどう評価されるだろうか。
進化したAMTを体感! まさにイージードライブ
さて、いよいよ新型スーパーグレートに試乗する。まず実感したのは、「シフトパイロット」とネーミングも一新されたAMTのフィールの良さ。
シフトアップのショックが少なく、シフトレバー操作による意図的なシフトアップ、ダウンもスムーズで、従来型のAMTからかなり進化しているのがわかる。
さらに、トルコンATのようなクリープ機能が追加されたのも見逃せない。従来のAMTでは少々テクニックが必要だった微速動作が容易になる。なお、クリープ機能をオフにする「ロッキングフリーモード」も追加されている。
試乗会では、スタックからの脱出も体験した。オフロードコースにスタック状態を想定した深い段差が設定されており、このモードを利用し、車体を前後に揺らしつつ、勢いをつけて脱出するのだ。
新エンジンとのマッチングもよく、軽量化効果によるフットワークの軽さも新型の特徴といっていいだろう。
エンジンのパワー、トルク特性も申し分なく、高速周回路でのテスト走行では直進安定性が感じられた。
あえて気になる点を挙げるとすれば、発進時に感じた低速トルクの僅かな不足だろうか。新エンジンのスペック上のパワー&トルクは十分とはいえ、やはり小排気量化の影響があるのかもしれない。
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