乗用車並みの制動をみせた衝突被害軽減ブレーキ
新型スーパーグレートの特徴のひとつが充実した安全装備だ。衝突被害軽減ブレーキは、2019年に装着が義務づけられる第2段階(フェーズ2)に対応した2タイプが用意される。
試乗会では、このうち最強バージョンである完全停止型のABA4(エービーエーフォー=アクティブ・ブレーキ・アシスト4)を体験することができた。
事前レクチャーによると、停車車両にも歩行者にも対応する最新システムで、衝突の危険性を感知すると第1段階として警報音とウォーニング表示で警告し、ドライバーの減速操作がなければ第2段階で50%の警報ブレーキを作動、それでも何もしないと緊急フルブレーキがかかるという。
まず、停止している障害物に向かって時速45㎞で走行するデモンストレーションを助手席で体験する。
ターゲットが近づくと警報が鳴り、続いてハーフブレーキ、フルブレーキが1秒ほどのわずかな時間で連続して作動するのだが、その3段階がはっきり確認できた。
しかも、第2段階のハーフブレーキの効き始めがソフトに感じられる。
現行車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキAMB(エーエムビー=アクティブ・ミティゲーション・ブレーキ)は、緊急ブレーキの効き始めがハードで、まさに急ブレーキの印象が強かったのだが、ABA4は車重の重い大型トラックでも乗用車並みのスムーズなブレーキだと感じられる。
先行車との車間距離をミリ波レーダーで感知、制御する「車間距離保持機能付きオートクルーズ」も新機能。先行車に合わせて減速、停車するだけでなく、停車後2秒以内に先行車が発進したら、合わせてリスタートする機能も備えている。
こちらは実際に運転席でテストした。同乗の開発スタッフから、「(自動ブレーキがキャンセルされるから)エキブレ(エキゾーズト・ブレーキ=排気リターダー)は使わないように」と言われていたものの、大型車の減速時にエキブレを作動させるのがほとんど習慣になっているので、それをこらえるのに少々苦労した。
自動ブレーキの機能は秀逸だが、大型車ドライバーにとって慣れが必要かもしれない。
数々の最新テクノロジーを集結!
自動ブレーキのほかにも、車体左側の死角となる箇所をレーダーによりモニタリングし、歩行者や自転車あるいは左側の車線を走行する自動車の存在を警告する「アクティブ・サイドガード・アシスト」、
オートクルーズを使用中にGPSと3D地図情報によって、先方の道路勾配を予測して省燃費に最適なアクセルワークを実践する「パワートレイン3D予測制御」、従来の運転注意力モニター機能を発展させ、
新たに追加した赤外線カメラシステムによりドライバーの注意力低下をブザーと画面表示で警告する「アクティブ・アテンション・アシスト」など、安全性と省燃費を向上させる数々の最新の電子装備を採用している。
三菱ふそうによると、今回の試乗車は実験車両だったが市販車では運転席のシートを改善して乗り心地を大幅に向上させるとともに、キャビンの防音対策を施し、ベンツの乗用車Cクラス並みの静粛性を実現したという。
価格競争に陥りがちな大型トラック業界に、さまざまな付加価値を引っ提げて登場する新型スーパーグレートが一石を投じるかもしれない。
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