タイプRはもはやサーキットオンリーのマシンではない
いろいろと心情的な思いはあると思うが、とりあえずは1台のクルマとして「FK2」を見ていこう。
310psを発揮する直4ターボVTECは、歴代のタイプR至上最高出力を誇り、コンチネンタルのスポーツコンタクト6をもってしても平気でホイールスピンを起こす。
いろいろ言われてはいるが、動力性能は間違いなく最強のシビックタイプRである。
「FF市販車ニュル最速」というゴールのためだけに開発されたこのクルマ。旧来からのホンダファンを敵に回すかもしれないが、性能は一線級だと断言したい。まずFK2の「○」を紹介しよう。
1.しなやかな足回りで守備範囲は広し
これは前述もしたがザックス製の電子制御サスペンションシステムの効果。とにかくスムースに上下に動いているのがわかる。「渋さ」があるダンパーも多いのだが、このFK2のザックスはそれがない。
まるでBNR32にアフターパーツで入れていたオーリンズのDFVのようだ。しかも「Rモード」にするとその減衰力が固められ、FD2型のようなガチガチの足回りになる。
この足回りの効果が一番感じられるのが首都高。普通に走っていても路面のアンジュレーションをしなやかにいなし、安定したハンドリングを維持し続ける。
逆バンクや継ぎ目の凹凸など、バリエーションが豊かな首都高の路面はニュルブルクリンクに似ているのかも!? もちろん市街地のマンホールや、工事後の路面などでも突き上げがなくマイルド。女性ウケもいい。
2.ベースモデルから引き継いだ実用性
歴代のタイプRも同じだがベースがシビックだから実用性が高い。スーツケースやゴルフバッグも入るし、大きなリアハッチだからコストコでの大量買いも心配ナシ。
それでいて大人4人がしっかり乗れる。スポーツモデルとしてこれ以上の実用性はない。また燃費も13km/L台は一般道を含む走行でも記録するし、高速道路メインならば19km/Lも記録したことも。
決してスポーツモデルとしては悪い数字ではない。
3.とにかく自慢できる存在
なんせ国内には750台しかない。ざっくりいえば全国の自家用車の総台数(約5980万台)の0.001%しかいない。
その希少性の高さで 注目の的になるのも事実。これは次期型が今夏に登場しようとも変わらない事実であり、きっとこれまでで一番レアなシビックタイプRになるだろう(シビックユーロRというレアキャラのライバルはいるが)。
4.採算度外視のパーツ選びに見た「ホンダの意地」
ブレンボのキャリパー、ザックスダンパー、そしてフロアをすべて覆うアンダーカバーなど、ニュルでの速さのためだけに予算を使ったのがFK2。とにかく「走り」の部分へのお金のかけ方が違う。
タイヤもコンチネンタルのスポーツコンタクト6を使い、柔らかいながらも”グググッ”とグリップする独特の乗り味を作り上げた。
「速いクルマは乗り心地がいい」。こんな決まり文句を体現しているFK2の影には、とてつもないコストのかけ方があった。新たなアプローチをしたことで、今後の新車開発への新たなステップになるかもしれない。
サプライヤーを広げるという意味でも、このお金のかけ方はホンダにとってもプラスだったのではないだろうか。
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