■新型ハリアーはどういった立ち位置なのか?
新型ハリアーは、外見やイメージこそ大きく違うが、あの現行型RAV4と「血」が繋がっている。
新型ハリアーには、RAV4で評価の非常に高かったTNGAプラットフォーム(GA-K)が採用される。これにより、ボディの高剛性化や低重心化など、SUVとしての走りや快適性といったポテンシャルは、3代目に比べて、大きく向上するだろう。
パワートレインもRAV4と同じく、ガソリンエンジンは、2.0L直列4気筒直噴エンジン(M20A-FKS)を採用。TNGAによって一新した、最新のダイナミックフォースエンジンとDirect Shift-CVTを組み合わせた走りは、新型ハリアーにも適しているだろう。
ハイブリッド仕様は、熟成のハイブリッドシステム(THSII)である、2.5L直列4気筒ハイブリッド(A25A-FXS)だ。RAV4で感じた、ダイレクト感ある走りと、優れた燃費性能の両立が期待できる。最大出力や最大トルクの値も同一のため、ほぼそのまま搭載されると思われる。
サスペンションもRAV4と同様、フロントにマクファーソンストラット式、リアにダブルウィッシュボーン式を採用。前後のサスペンションジオメトリを最適化し、乗り味を追求するため、徹底的な走り込みが行われたという。2mm/秒という極微低速のピストン速度域でも、スムーズなストロークを確保したショックアブソーバーを採用し、走り出した瞬間や、高速走行時の車両挙動の収束性を狙っている。なおタイヤサイズは225/55R19が標準設定だ。
気になるボディサイズだが、新型ハリアーは、3代目ハリアーに対し、全長が15mm長く、車幅は20mm広く、ホイールベースは30mm長く、つまりひと回り大きくなる。全長を除くと現行型RAV4とほぼ同じサイズだ。いっぽうレクサスRXと比べるとひと回り以上小さく、日本国内での取り回しには、さほど苦労することはないだろう。
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3代目ハリアーへとモデルチェンジした際、海外市場からの需要で大型化が望まれていたRXと決別し、国内向けにサイズ縮小したことは、ハリアーが国内市場で生き残れた理由のひとつだと筆者は考えている。クルマは肥大化すれば万事良いわけでは全くない。新型ハリアーのボディサイズを見て、個人的にはひとまずほっと安心した。新型ハリアーは間違いなく「国内ラグジュアリーSUVのベンチマーク」となるだろう。
■進化ポイントとライバルと比べたときの優位点は?
さらに、新型ハリアーについて、進化したポイントを深掘りしていこう。
エクステリアデザインは、実に流麗なプロポーションとなっている。フロントアッパーグリルからヘッドランプへと流れるようなシルバーラインが、精悍かつシャープな印象を与えている。 二重のL字型に発光する薄めでシャープな「シグネチャーランプ」により、遠くからでも新型ハリアーと分かるだろう。
サイドビューはシンプルな面構成だが、リアに向かって入ったキャラクターラインや、リアフェンダー上のラインが、ダイナミックな流れのイメージを与えてくれる。またサイドガラスの上下幅が狭いことで、キャビンはクーペのようにも見える。RAV4と同様に、ドアにサイドミラーがつくかたちになっていることで(※先代はピラーにサイドウィンドウ)、運転席からの死角が更に減っている。また、リアビューは、細く、鋭く、横一文字に光るテールランプとストップランプで、これまた圧倒的な存在感を放っている。
ボディカラーはプレシャスブラックパールをはじめとして、彩度を抑えたカラーを中心に、全7色が設定される。全体のフォルムはRXにも見えるが、RAV4並の1855mmの全幅で納められており、まとまり感があって良い
インテリアの進化も素晴らしい。センターコンソールは幅広く、上質な革で表皮が覆われている。トヨタによると「馬の鞍」をイメージしているとのこと。インストルメントパネルとのつながりも左右対称のようにも見え、すっきりとしている。ダッシュボードに使われている素材の質感も高い。「曲木(まげき)」に着想したウッド調加飾やパイピング加飾を随所に配し、上質感を演出している。
インテリアカラーは、コントラストを抑えたブラウン、グレー、ブラックの3色を設定。どのカラーも、落ち着いた大人の室内空間を表現している。RAV4のように遊び心があるインテリアでもなく、RXのように木目調パネルを用いたいかにも高級サルーンといった雰囲気でもなく、「清潔感のある高級なインテリア」といった印象だ。
インパネ中央最上段に位置する「12.3インチTFTタッチワイドディスプレイ」のT-Connect SD ナビゲーションシステムは、Apple CarPlay、Android Autoといったスマートフォン連携機能に対応。9スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステムも備える。またトヨタ車初採用となる、調光ガラスを用いた電動シェード付パノラマルーフも装備。調光時には、障子越しのような柔らかい光が差し込み、一段と上質な室内空間となる。
また、走行中の前後方向映像を録画可能なデジタルインナーミラーも、トヨタ車として初採用となる。こうした先進機能をもつのは、新型ハリアーの魅力であり、ライバル車に勝つための武器となるだろう。
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