新型ミライース徹底解剖「燃費競争やーめた」の効果は?

新型ミライース徹底解剖「燃費競争やーめた」の効果は?

 2017年5月9日に、日本の低燃費競争レース(軽自動車部門)を引っ張ってきたミライースが2代目へとモデルチェンジした。

 各メディアで紹介記事や試乗記が登場したが、ここでは自動車専門誌らしいマニアックな視点、さらには本当に欲しい人に向けた視点にこだわって、解剖記事をお届けしたい。

 「そういう記事ならこの人!」ということで、渡辺陽一郎氏にご登場願おう。

文:渡辺陽一郎 写真:藤井元輔
ベストカー2017年6月26日号


 最近の軽自動車は燃費競争が激しく、2014年に発売された(ミライースの)ライバル車である現行アルトはJC08モード燃費が37㎞/Lに達する。

 当初(デビュー前)、新型ミライースはこの数値を超えると予想された。

 ところがデビュー後にカタログ資料を見てみると、車両重量を80kgも軽量化しながら、燃費数値は先代型と同じ35.2km/Lだった。

 上級グレードのG〝SAIII〟、X〝SAIII〟は34.2km/Lに低下。開発者は「先代型はJC08モード燃費を追求した結果、動力性能と実用燃費が悪化した。新型はこの点を改めた」という。

ダイハツ新型ミライースをマニアックにチェックしてくれたのは渡辺陽一郎氏。後半にはライバルであるスズキ・アルトとの比較もあります
ダイハツ新型ミライースをマニアックにチェックしてくれたのは渡辺陽一郎氏。後半にはライバルであるスズキ・アルトとの比較もあります

■新型は加速感がアップ

 実際にミライースに試乗すると、確かに実用回転域の駆動力は先代型よりも少し高い。

 最大トルクは先代型と同じ5.8kgm(5200回転)で基本的には高回転志向だが、特性を見直した。軽量化の効果も大きい。

 ただ、新型は加速時にアクセルペダルを少し踏んだだけでスロットルが大きく開き、動力性能が高いように感じさせる制御を施している。

 エンジン回転が先に高まり、その後で速度が上昇するCVTの違和感も残る。しかし、ターボを装着しない軽自動車としては走りが軽快だ。

 走行安定性は軽自動車では優れた部類に入る。全高は立体駐車場でも使いやすい1500mmだから、重心も低く抑えられた。

 ホイールベースは2455mmを確保するから、カーブを曲がる時も4輪の接地性が高い。スタビライザーを装備しないため、急いで車線変更をした時などはボディの傾き方が拡大するが、後輪の横滑りなど、挙動の乱れは小さい。

 乗り心地は少し硬い。試乗車のタイヤは14インチのダンロップエナセーブEC300+で、指定空気圧は260kPaと高い。

 従って、段差を乗り越えた時は突き上げ感が伴うが、先代型に比べると路面の細かなデコボコによる振動は抑えられている。

 サイドウィンドウの下端を低めに抑えて前後左右ともに視界がよく、最小回転半径も4.4mだから小回りが利く。

 内装の質は価格を考えれば納得できる。メーターはデジタルで、速度表示の右側に瞬間/平均燃費などを示す。インパネの手前には、トレイと固定式のカップホルダーを装着して実用性を高めた。

 前席は腰を包む形状でサポート性がいい。後席は座面が硬めで奥ゆきは短いが足元は広い。

 身長170cmの大人4名が乗車して、後席の膝先空間は握りコブシ2つ少々だから、前後方向の余裕はLサイズセダン並みだ。大人4名が無理なく乗車できる。


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