2019年8月に国内向けの生産を終えてから約7年、今日10月29日、新型パジェロが日本国内正式発表された。本日発表された国内受注は5500台。12月17日の発売(納車開始)を前に、新型パジェロが早くも想定を上回る勢いを見せている。三菱自動車によると、10月1日の先行予約開始から28日までの5500台の受注のうち、約7割が税込795万800円の最上級グレード「SUPER EXCEED(スーパーエクシード)」に集中していること、そして注文主の約8割が三菱にとって新規のユーザーであることが明かされた。想定を上回る受注を受け、販売計画の見直しも検討しているという。誰が、どのパジェロを選んでいるのか。発表資料と説明会での説明をもとに、”意外な買われ方”の中身を読み解く。
文:ベストカーWeb編集部、画像:三菱自動車、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】新型パジェロ、予約の7割が約795万円の最上級!! 受注5500台で見えた”意外な買われ方”(2枚)画像ギャラリー予約5500台は国内4カ月計画の約1.4倍だった
まずは数字を確認しておこう。本日、都内で実施された新型パジェロ帰社発表会で、質疑に応じた三菱自動車 国内営業本部 国内商品戦略部の木村龍哉主任によると、新型パジェロの国内販売計画は月1000台。12月の発売から2027年3月までの4カ月で計4000台を見込んでいた。
ところが発売の1カ月半以上前、予約開始からわずか4週間で約5500台の注文が入った。当初の4カ月計画に対して約1.4倍。木村氏は「想定を上回る受注だ」と喜びを語った。三菱自動車の国内販売店にとっても、「パジェロ」というブランドを待ち続けてきた三菱車ファンにも朗報といえるだろう。
2026年9月2日の新型パジェロ世界初披露時に示された、2026年度の世界販売計画は1万台。木村氏は、このうちタイと豪州がそれぞれ3000台という年度内の想定も示した。国内の4000台と合わせてちょうど1万台。日本は世界計画の4割を占める最大の市場という位置づけで、その日本の予約だけで世界計画の半分を超えた計算になる。三菱にとって、日本市場の反応はうれしい誤算といっていいだろう。
7割が最上級、次点GSR ”高いほうから売れる”のはなぜ?
そして今回もっとも驚かされたのが、グレード別の内訳だ。木村氏によれば、現時点の予約の約7割が最上級のSUPER EXCEED。次いで多いのがGSRだという。
新型パジェロのグレードと価格(税込)をあらためて整理すると下表のとおり。最上級のSUPER EXCEEDは、すぐ下のEXCEEDより約102万円、エントリーのGLSより約176万円高い。にもかかわらず、注文の大半がここに集まっている。
| グレード | 税込価格 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| SUPER EXCEED | 795万800円 | 20インチ、セミアニリン本革、ヤマハ12スピーカー |
| EXCEED | 693万円 | 20インチ、ブラック内装、上級快適装備 |
| GSR | 676万5000円 | 18インチ、オフロード志向の仕立て |
| GLS | 619万3000円 | 18インチ、基本性能を備えたエントリー |
SUPER EXCEEDにはキャメル×ブラックのセミアニリン本革シート、ヤマハと共同開発した12スピーカーの「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」、20インチタイヤなどが与えられる。新型パジェロを”現代の高級クロカン”として味わうなら、確かにこれしかない、という内容だ。
一方、次点のGSRは18インチタイヤを履くオフロード志向の仕立て。豪華さのSUPER EXCEEDか、走破性重視のGSRか。どうせ買うなら中途半端はイヤだ、という本格派らしい選び方が透けて見える。
ただ、EXCEEDとGLSの生産開始は2027年4月の予定とされている。発売当初に手に入れやすいのがSUPER EXCEEDとGSRだとすれば、早く乗りたい人の注文がこの2グレードに寄るのは自然な流れでもある。「7割」には、そうした供給事情も含まれているだろう。
ただ、車両本体価格が800万円近い新型車が三菱自動車のディーラーでバンバン注文が入っている、という事実は、往年の三菱ファンには感慨深い。全国の三菱ディーラーは約530店舗。1店舗あたり10台くらいの受注が入っている計算で、これはうれしいはず。今後の三菱の営業戦略や販売体制構築にも明るい話題といえるだろう。
8割は新規客 乗り換え元のトップはデリカ
もうひとつの注目点が、「どんなユーザーが新型パジェロを買っているか」だ。木村氏によると、新型パジェロは新しいユーザーと、これまでのパジェロファン、双方に支持され、幅広い層にリーチできているそうだが、現時点の受注の約8割は新規のユーザーだとのこと。8割はすごい。三菱車からの乗り換えは約2割にとどまるという。
つまり新型パジェロの注文主の大半は、いま三菱車に乗っていない人たちということになる。パジェロという名前の求心力が、ブランドの外にいた層を引き寄せている、と読める数字だ。その2割の内訳も興味深い。乗り換え元の1位はデリカ、2位はアウトランダー、3位が旧パジェロの順だという。
デリカが首位というのは、新型パジェロが全車3列7人乗りで、2列目に150mmのスライド機構を備えることを考えれば納得がいく。家族を乗せる実用性はそのままに、より本格的なクロカンへステップアップしたい層の受け皿になっているのだろう。そして3位の旧パジェロは、2019年の国内生産終了から7年間、後継の登場を待ち続けたオーナーたちだ。三菱にとっても、これほどありがたい客はいない。
新規客が大半を占めるとなれば、迎える販売店側の対応も問われる。記者説明会では(9月のワールドプレミアで「計画中」と明かされた)国内販売店の高級化に関する進捗質問も出たが、三菱自動車としては、本件はいままさに調整中で、近日中に発表する予定だと答えた。続報を待ちたい。
納期は平均3〜4カ月、増産はサプライヤーと調整中
これから注文を考えている人にとって気になるのは、いつ乗れるかだろう。新型パジェロはタイのレムチャバン工場で生産され、現地(タイ)では10月19日に発表・発売された。今回の発表によれば、豪州でも12月から販売が始まる。日本向けを含め、ひとつの工場から複数の市場へ供給していくことになるわけだ。
国内での納期については、国内の平均で3〜4カ月程度とした。ただしこれは現時点での目安で、グレードや注文時期によって変わる。予約が想定を上回ったことを考えれば、今後延びる可能性も頭に入れておきたい。
増産については、三菱自動車広報部から「サプライヤーと調整中」と述べるにとどめた。販売計画の見直しは検討段階だが、日本の予約は発売開始前に国内の年度内計画を約1500台上回っている。タイと豪州でも需要が立ち上がるなか、ひとつの工場でグローバル販売台数をどう振り分けるのか。今後の大きな焦点になる。受注状況やサプライヤーとの調整がどうなるか。どうせならたくさん売ってたくさん儲かってほしいぞ。
なお、発売日の12月17日からはテレビCMも始まる予定だという。CMが流れ始めれば、注文がさらに上積みされることも考えられる。今後、全国の三菱自動車販売店に順次、展示車や試乗車が配備されていくだろう。そうなると受注も加速するはず。とりいそぎ、この週末には三菱自動車工業の東京本社(JR田町駅前)ショールームには一台展示されている。行列ができそう。
新型パジェロは、2.4Lクリーンディーゼルターボに8速AT、スーパーセレクト4WD-IIとS-AWC、7つのドライブモード。中身の本気度は既報のとおりだが、市場の答えはそれ以上に早かった。気になっている人は、まず販売店で最新の納期を確かめてみることをおすすめしたい。
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