■コンパクトカー戦略が浮沈のカギを握る
それだけでなくコンパクトカー分野でも三菱はイメージを回復させる必要がある。コアとなる「ラリーアートエディション」のようなハイパフォーマンスモデルか、あるいは圧倒的に経済的なモデルだ。
現在、タイで生産しているミラージュではそうした戦闘力、アピール力が足りないが、内外装を一新してエクリプス クロスの1.5L、4気筒ターボを搭載し、ミラージュエボ的なスポーツモデルを用意する手はある。
こうした長年のファンが喜ぶ施策と同時に、コンパクトなi-MiEV後継モデル的なEVを加え、コンパクトカー戦略を立て直すことが重要だろう。このあたりは三菱自身もよく知っていて、関係者によると、社内的にこのクラスをどう変えていくかを検討しているということだ。
もしもミラージュエボ戦略があるとしたら、そのライバル車はヴィッツGRMNやポロGTI、アバルト595など。日産のNISMO戦略ともかぶるクルマになるが、そこは提携相手であっても別のブランド。互いに切磋琢磨するのも大切な仕事だ。
■日産と三菱の協業によりEV戦略もパワーアップ
残るはEV戦略。世界レベルでみても、最初にEV戦略を明確にした自動車メーカーは三菱だったといえるが、ここにきてピュアEVはトーンダウン。PHEVと両面作戦を続ける体力がなかったというのが正直なところだ。
しかし、これまでに蓄えた技術レベルは日産も一目置くもの。日産、ルノーと組むことで、さらなるレベルアップとコストダウンを図ることができる。
日産は9月6日に新型リーフをリリースし、ルノーは今年のジュネーブショーでコンパクトEV、ZOE(ゾエ)の466馬力スポーツバージョンを出展するなど、日産・ルノー・三菱グループにとって間違いなくEVは事業の柱となる。
実は、トヨタも7月26日に発表したように2022年までに全固体電池搭載の次世代EVを出すことを明らかにしているし、実際、2019年にはC-HRとレクサスUXにEV専用車を入れることを計画している。
全固体電池は電解質にセラミックなどの固体を使用するもので、出力、充電量が倍になり、充電時間が大幅に短縮できるという近未来EVの主力技術。
当然、日産・三菱もその研究は進めており、2020年以降は全固体電池の激しい先陣争いが繰り広げられることになりそうだ。
首位の座を手に入れた日産・ルノー・三菱グループは、その座を守るため、グローバルはもちろん、日本でもあらゆる手を打ってくる。日本市場の回復がこの日産と三菱にとって大きな鍵を握っているからだ。
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