スポーツカー好きならば、誰もが一度は憧れたであろう「フェアレディZ」。過去のフェアレディZをオマージュしつつも、新世代のデザインで登場したプロトタイプの姿は、日産ファン、クルマファンとって、感慨深いものだ。
今回、12年ぶりとなるモデルチェンジとなるフェアレディZ。平成を駆け抜けた平成「Z」の進化を振り借りながら、令和初の「Z」への期待を考察していこうと思う。
文:吉川賢一、写真:日産
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平成を駆け抜けた3代のフェアレディZ
●4代目フェアレディZ(Z32型)/1989年7月~2000年10月生産終了
平成となって最初にモデルチェンジをしたフェアレディZが、4代目のZ32型だ。1990年初頭といえば、初代セルシオや初代NSX、R32型スカイラインGT-Rなど、そして国産スポーツカーが黄金期を迎えていた頃でもある。
今では考えられないほど、若者達がこぞってクルマへお金を使い、スポーツカーを買いあさっていた。このZ32も、そうした若者の関心をとらえようと、ワイド&ローかつスタイリッシュなデザインを採用しており、今見ても美しい。
トップグレードのエンジンは、3.0L・V6ツインターボを採用し280馬力へとパワーアップ。
同時期に発表されたR32型スカイラインと同じく、スーパーHICASがツインターボモデルに装備されているなど、贅を尽くしたモデルであったただし、サイズアップに伴って車重が増してしまったことがネックであった。
●5代目フェアレディZ(Z33型)/2002年7月~2008年10月生産終了
1990年代末といえば、日産自動車は新車の販売低迷によって、倒産すれすれまで追い込まれていた時代だ。
Z32系が2000年に生産終了となったのち、一時期、フェアレディZは日産のラインアップから消えていたが、全米のZオーナーズクラブからの、「Z」復活を望む強い声に応えるべく、日産デザインアメリカを中心にコンセプトカーが作られた。
鋭いヘッドライト、切れ上がったテールランプ、そして大きなリアフェンダーなど、プロポーションの美しさは、当時からずば抜けて優れていた。
エンジンは、排気量を500ccアップし、3.5L・V6 NAエンジンへと進化、怒涛のトルクでグイグイと走らせるようなロードゴーイングカーとなった。
シャーシはV35型スカイラインと同じFMプラットフォームを流用し、前後重量配分も53:47と適正化している。
なお運動性能向上のために、トランクルームには補強フレームが装着されており、使い勝手は悪かったが、続くZ34型では、その補強バーなしに車体剛性向上を果たした。
●6代目フェアレディZ(Z34型) 2008年10月~
上向き成長を続ける、当時の日産を象徴するように、2007年のR35型GT-Rのデビューに続いて2008年にデビューしたのが、6代目となる現行Z34型のフェアレディZだ。この2台の登場により、日産のスポーツイメージは引き上げられた。
ブーメラン型ヘッドライトとテールランプの採用、よりマッシブなボディスタイル、そして、排気量を200cc増やした、3.7LのVR37HRエンジン採用など、デザインと中身を正常進化させている。
2012年のビッグマイナーチェンジで、フロントグリルにあった牙のような造形がなくなり、フロントバンパーのデザインも変更、サスペンションのリファインも施された。
そして、2014年に行われた「NISMO」のマイナーチェンジを最後に、今のデザインに落ち着いている。
Zファンの多い北米では、日本仕様にはない廉価なベースグレードが、いまも約3万ドル(3万90ドル=約329万円)で購入できる(日本仕様のベースグレードは397万円~)。
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