■選べる足回り設定でレヴォーグのネガだった硬い乗り心地を払拭
ドライブモードセレクトはCOMFORT、NORMAL、SPORT、SPORT+、INDIVIDUAL(お好み設定)の5つのドライブモードで構成されている。
それぞれのモードによってプログラミングされるのはSI-DRIVE(i、S、S#)、パワーステアリング、ダンパー、AWD、アイサイト(ACC)、エアコンの6種類だ。INDIVIDIALはこの6種類を自由に組み合わせることができる。
特にここで注目なのがこの可変ダンパー。可変ダンパーそのものにはComfort、Normal、Sportの3段階の減衰力特性があり、ドライブモードによって変更される。
このドライブモードがNORMALとSPORTの時に可変ダンパーはNormalの減衰力で、SPORT+にセットすることで可変ダンパーも最強のSportになる。そしてCOMFORTは可変ダンパーが最も緩いComfortに設定されるのだ。
このなかで筆者が最も注目したのがCOMFORTモード。レヴォーグの乗り心地はこれまで硬かった。初期モデルは驚くほどの硬さだったが、年次改良などでスムーズ化されてきた。それでもアジリティ(編注:軽快さ、機敏さなどの意)などスポーツ性を重視して比較的硬めのサスが売りだったのだ。
しかし、今回設定されたCOMFORTモードは恐ろしくソフトで快適だ。サスペンションストロークを長くしたことと相まってかなり快適。ロールもステアリングを切り込むと同時に意外に速くサスペンションがストロークする。
ただ、ロールしきったとき、コーナリング中のタイヤがべったりと路面に吸い付くような安定感が支配し、全く不安感がない。つまり、乗り心地優先のCOMFORTモードでもコーナリングが楽しめるのだ。2ピニオン電動ステアリングの採用もこの正確なステアリングワークを可能にしている。
■最もスポーティな設定では高レベルなハンドリング実現
そして注目はフルハードとなるSPORT+モード。
しっかりとした腰のあるダンピングに変化し、ロールの速度が遅くなるので転舵したフロントタイヤの変形が早まり、そのぶん操舵に対する応答性が速くなる。インナーフレームによる剛性アップと2ピニオン電動ステアリングの手応えをしっかりと感じる瞬間だ。
ダンピングのストローク特性が変化するだけだから最終的なロール量は変わらないのだが、そこに至る速度が遅くなるから(特に伸び側)、感覚としてロールを感じにくくなり、ロール角が少なくなったように錯覚する。
これによって袖ヶ浦フォレストレースウェイの第2コーナーを全開で加速しながら120km/h以上の速度で駆け抜ける。
またESC(横滑り防止装置)をオフにしてコーナーへの飛び込みをチャレンジしたのだが、ブレーキングを残しながらのコーナー進入で実にゆっくりとリアが流れ始める。
アンダーステアな予感はなく、どこまでもフロントタイヤはフロントのグリップ感をステアリングにフィードバックしている。AWDの制御も適切だから、リアがスライドしてもコントロール性を維持したまま思い通りのラインをトレースできた。
もっともESCをオンにしていれば滑ることなく安定したコーナリングが可能。オフにしたのは素の特性がどうかということで、ここでアンダーやオーバーでは素性が問われるのだ。
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