■スポーティなSUVのDNAは活かされる! こだわった走りの進化
新プラットフォームは、新しい小型トラック向けのものがベース。それはMDXの堅牢さを意味するが、同時にスポーツセダンをターゲットとしたドライビングダイナミクスも追及されているという。そのために足回りも一新。フロントをダブルウィッシュボーン式、リアをマルチリンク式とした走行性能を重視した仕様となっている。MDXでのフロントのダブルウィッシュボーン化は歴代初のこと。その足回りを活かすべく、各部の剛性も強化されていることは言うまでもない。
力強い走りの源なるパワートレインは、全仕様に自然吸気仕様の3.5L V6SOHC i-VTECエンジンを搭載。最高出力290hp/6200rpm、最大トルク362Nm/4700rpmを発揮。これに10速ATが組み合わされる。
大型SUVでありながら、非電動車という点は実にアメリカン。ただエンジン全体の効率化を高める改良はしっかりと加えられており、パワーバンドの拡大と燃費効率の最大化が図られているという。
駆動方式は、FFと4WDの2タイプを設定。4WDは、ホンダ独自のSH-AWDを組み合わせる。現行型のSH-AWDと比べ、リアトルク容量を40%増加させ、フロントからリアのトルク伝達を30%も高速化。前後のトルク配分は標準時でリアに最大70%を伝達。後輪側の伝達トルクは、左右片輪に最大100%振り分けることで、俊敏なコーナリングを実現させる。この辺は、断続的に自在にトルク配分を操れるSH-AWDの神髄といえる。
実は、新型アキュラ「MDX」には、まだ隠し玉がある。それが2021夏後半に投入予定のスポーツグレード「タイプS」だ。よりスポーティなエクステリアに加え、ボンネット下には、新開発の3.0LのV6DOHCツインターボエンジンを装備。SH-AWDとの組み合わせで、最高出力355ps、最大トルク480Nmを発揮するという。
そのスペックを聞いただけでも、かなり刺激的なSUVに仕上がっていることが想像できる。その走りを満喫するためにもストッピングパワーを強化しており、前輪にブレンボ製4ポッドキャリパーが奢られる。また装備も豪華な仕様となり、MDXのなかでも特別な存在となる。
SUV人気が高まる昨今の日本だが、ホンダは初代MDXの導入以降、大型SUVには手を出していない。ホットな市場には違いないが、そこには多くのライバルが顔を揃える。なによりもホンダ自身、日本市場では高級車カテゴリーで苦戦している現実もある。
一方で、得意とするコンパクトでは小型SUVの「ヴェゼル」がトップセラーとなっている。2021年には、新型ヴェゼルの登場も噂されており、そちらに注力するだろう。そもそも日本導入では、将来的な電動化がマストとなるため、それもMDXのハードルとなる。
しかしアキュラ「MDX」のノウハウは、将来的に、新しいSUV開発の知見のひとつになることは言うまでもない。そんなスポーティな味付けの走りのSUVが登場すれば、きっとホンダファンや個性派SUVを求める人が飛びつくはずだ。
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