VW新型ゴルフ満を持して日本上陸 ゴルフは新型も「世界基準」となれるのか

デジタル化されたインテリア 「直感的になった」とは言うが…

 ゴルフ8の最大のポイントは、インテリアのデジタル化だろう(VWでは「デジタルインテリアアーキテクチャ」と呼ぶそうだ)。デジタルメーターや、インパネ最上段に来ている10インチタッチスクリーンは、全グレードで標準装備となる。

 先代最終モデルの「マイスター」のような豪華なインテリアとは対照的に、機能追求かつシンプルに仕上げた未来的なインテリアは、新鮮でありつつも、「無駄」がなさすぎることで、若干寂しくも思える。

 いわゆる物理スイッチは数が減らされており、ナビゲーションの真下に並んだ、エアコン温度調節や、ボリューム調節、メニュー選択などの操作は、ほとんどがタッチパネル化されている。

 VWは、「直感的に操作ができるようになった」としているが、これが本当に「直感的」な形式とは、筆者は思えない。ナビの下部分のタッチスライダー(2本の指で触ってスワイプする操作など)、は、最後まで慣れなかった。運転中の揺れる車内で、この手のタッチパネルへ正確に触り、正確に操作するなんてことは到底できないんじゃないだろうか。

 「世界のベンチマーク」であるだけに、「ゴルフがタッチパネル化へ進むなら…」と、世界中のクルマがこうなってしまうのではないか、心配でならない。

フルデジタルメーターと、10インチのタッチ式ディスプレイが並ぶコクピット周り。メーターの右側には、ライトや視界関連のスイッチも、タッチパネル化されていた
フルデジタルメーターと、10インチのタッチ式ディスプレイが並ぶコクピット周り。メーターの右側には、ライトや視界関連のスイッチも、タッチパネル化されていた
やや硬めのサイドサポートだが、ホールド性の良いシート。ファブリックの素材は滑りにくく、身体をしっかりとホールドしてくれる良いシートだ
やや硬めのサイドサポートだが、ホールド性の良いシート。ファブリックの素材は滑りにくく、身体をしっかりとホールドしてくれる良いシートだ
ホイールベースが15ミリ短縮されたそうだが、膝前スペースは十分にある。後席のサイドウィンドウも広く、多くの光が差し込み、先代と同様、後列シートは快適な空間であった
ホイールベースが15ミリ短縮されたそうだが、膝前スペースは十分にある。後席のサイドウィンドウも広く、多くの光が差し込み、先代と同様、後列シートは快適な空間であった
アクセルペダルの右側に、右足の置き場所がしっかりと確保されている。高速走行中のACC作動時に使うと、下半身の疲れが半減するほど役立つ工夫だ
アクセルペダルの右側に、右足の置き場所がしっかりと確保されている。高速走行中のACC作動時に使うと、下半身の疲れが半減するほど役立つ工夫だ

走りの次元は他社車を圧倒している

 試乗は1.0Lの「eTSI Active」と、1.5Lの「eTSI Style」の2台。一般道、ワインディング、流れの速い幹線道路など、リアルワールドで乗り比べた。

 まずは1.0Lの「eTSI Active」に試乗。1.0L「eTSI Active」のポイントは、走りの軽快さだ。軽自動車のエンジンに毛が生えた程度の排気量(正確には999cc)で、よくもこれほど静かに、かつパワフルに走らせるものだなと、感激するほどだ。

 低速からの加速の滑らかさ、そして強めにアクセルペダルを踏み込んだ際の加速の強さも、必要十分な性能だ。これらは間違いなく、48Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵だ。

 アシスト力は常に適切な強さで介入するため、より大きな排気量のクルマを運転している印象を受ける。また、アクセルオフ時にはエンジンをオフにしたコースティング(慣性走行)もするので、実燃費も伸びる傾向だ。

 コーナリング性能や乗り心地は、先代同様で素晴らしく、間違いなく「世界のベンチマーク」としての実力が引き継がれている。高速走行時のステアリングホイールのN付近の落ち着きぶりも、先代と同様に高い。

 ただし、リア周りからの音の漏れ(ロードノイズなど)は、若干、期待値を下回っていた。1.0 eTSIだと、リアがトーションビーム式となるため、それも影響しているのだろう。

 続いて1.5Lの「eTSI Style」に試乗した。1.0L「eTSI Active」との走りに関係する違いは、パワートレイン(1.5L化)、タイヤサイズ(17インチ化)、フロントサスのサブフレームがアルミ化(1.0Lはスチール製)、そしてリアが4リンク式マルチリンクになる点だ。

 車重は1.0L eTSI(1310kg)に対し、50kgほど重く、1360kgとなる。このため、1.0eTSIとは違って、乗り味に落ち着きが出ていることと、静粛性が増しているのがすぐに分かる。

 ちょっと速めのスピードでコーナーに突っ込んで大きくロールさせ、ボディモーションを確認する。ゴルフ8は、コーナーの途中で荒れた路面を走り、タイヤが多少バタついても、サスやタイヤのたわみで吸収し、キャビン側には揺れをさほど伝えてこない。そのため、運転者はクルマの向きをコントロールすることに集中できるので、安心感が非常に高く、そして、運転が楽しく感じる。

 これで、サスペンションはコンベンショナル(制御デバイスを使っていない)なのだから驚かされる。サスペンションストロークの多さなのか、バンプラバーの特性なのか、チューニングの巧みさなのか。さすがはVWだ。国産車で、この走りに肩を並べられるクルマを、残念ながら筆者は知らない。

 ちなみに、WLTCモード燃費は、1.0 eTSIが18.6km/L(市街地14.7、郊外19.1、高速20.6)、1.5eTSIが17.3km/L(市街地12.8、郊外18.0、高速19.8)だ。

※純正ナビゲーションは、別途、Discover Proパッケージ(19万8000円)が必要となる
※純正ナビゲーションは、別途、Discover Proパッケージ(19万8000円)が必要となる
コーナリング性能や乗り心地は、先代と同様に、素晴らしく良く、「欧州Cセグメントの見本」として、依然としてTOPクラスにある
コーナリング性能や乗り心地は、先代と同様に、素晴らしく良く、「欧州Cセグメントの見本」として、依然としてTOPクラスにある
低速からの加速の滑らかさ、そして強めにアクセルペダルを踏み込んだ際の加速の強さも、必要十分な性能だ。これらは間違いなく、48Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵
低速からの加速の滑らかさ、そして強めにアクセルペダルを踏み込んだ際の加速の強さも、必要十分な性能だ。これらは間違いなく、48Vマイルドハイブリッドシステムの恩恵
1.5Lの「eTSI Style」。クルマ全体の重さが増すため、1.0eTSIとは違って、乗り味に落ち着きが出ていることと、静粛性が増しているのが、すぐに分かる
1.5Lの「eTSI Style」。クルマ全体の重さが増すため、1.0eTSIとは違って、乗り味に落ち着きが出ていることと、静粛性が増しているのが、すぐに分かる
コーナーの途中にある、荒れた路面を乗り越え、タイヤが多少バタついても、サスやタイヤのたわみで吸収し、キャビン側には揺れをさほど伝えてこない
コーナーの途中にある、荒れた路面を乗り越え、タイヤが多少バタついても、サスやタイヤのたわみで吸収し、キャビン側には揺れをさほど伝えてこない
「eTSI Style」の1.5L直列4気筒ターボのスペックは、最高出力110kW(150ps)/最大トルクは250Nm(25.5kgfm)にもなる。強烈なパンチはないが、心地よいガソリンエンジンのサウンドは、胸がすっとする
「eTSI Style」の1.5L直列4気筒ターボのスペックは、最高出力110kW(150ps)/最大トルクは250Nm(25.5kgfm)にもなる。強烈なパンチはないが、心地よいガソリンエンジンのサウンドは、胸がすっとする

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