■気になる進化度とライバルに対する強み
新型のエクステリアは基本的にキープコンセプトで、旧型からパッと見の印象があまり変化がないが、実はその進化度はかなり大きいのだ。
新型フォレスターは、次世代スバルSUVの中核モデルとしてSUBARUブランドの牽引を図るのが開発陣のねらい。新型フォレスターを担当したスバル商品企画本部の布目智之PGMは言う。
「ユーザーが何をSUVに求めているのかを徹底的に調べ、新型では〝快適〟と〝冒険〟というふたつの情緒的価値を加えてエモーショナルな領域にまで踏み込んでいます」。
まずパワートレーンでは、直噴化された2.5LNAは旧型の2LNAをJC08モード燃費では若干下回るものの、街中と高速での実用燃費では凌駕している。
このあたりは同エンジンの冷却システムにサーモコントロールバルブを採用し、従来のサーモスタット制御よりフリクションを低減して低温制御によりノッキングを抑制する「熱マネジメントシステム」の効果が大きいと言えるだろう。
また、FA20ターボに代わるトップグレードの2Lハイブリッド、「e-BOXER」はリチウムイオンバッテリーの採用やドライブモーターインバーター、DC-DCコンバーターなどを次世代化。
これにより効率化と小型化、低燃費化とドライブモーターによる加速の質感を先代XV&インプレッサハイブリッドから大幅に向上させている。
さらにバッテリー電圧のアップにより、EV走行領域を従来よりも拡大。20〜40㎞/hでのEV走行時やアクセルを軽く踏み増しした場合にもEV走行を維持する。
この高効率化で、よりバッテリー容量の大きなエクストレイルハイブリッドに迫るEV走行頻度を実現させているのだ。
もちろんアイサイトも昨年のレヴォーグ/WRX S4で登場した最新版のツーリングアシストを標準採用。さらにオプションとしてアイサイトセイフティプラスには、スバル車初となるドライバーモニタリングシステムを用意。
マルチファンクションディスプレイのバイザー部に設置された専用赤外線カメラがドライバーを昼夜モニタリングし、脇見や居眠りを警告するだけでなく、顔認識によるおもてなし機能でサポートしてくれる。
220mmというスバル車最大の最低地上高に加え、斜面への乗り上げや斜面から平坦路に降りる時のアプローチアングル20°とデパーチャーアングル26°、斜面や丘部の頂上を越える時のランプブレークオーバーアングル21.6°はクラス水準を上回る。
スバルグローバルプラットフォームを採用したボディも大幅に進化を果たし、ボディ剛性や衝突安全性、静粛性や乗り心地の向上に大きく寄与している。
足回りも改良されたことで高速走行時の危険回避性能を大幅に向上し、ダブルレーンチェンジテストでも旧型をはるかにしのぐ速度で通過している。
室内空間を拡大したボディサイズは、旧型から全長で15mm、全幅で20mm、ホイールベースは30mmアップさせながら、最小回転半径は旧型より0.1mアップの5.4mにとどめており、取り回しはほぼ変わらない。
ホイールベース拡大ぶんはすべて後席スペースの拡大に使われ、クラストップレベルを実現している。
ユーティリティもホイールハウスのトリム形状を最適化し、荷室フロア幅を拡大して荷室高に荷室フロア幅&最大長、開口部最大幅などがクラス最大級に。4人ぶんのキャンプ道具を呑み込んでもなお余裕を持つ。
【編集部まとめ】
新型フォレスターはWeb上でのアクセス数などを見ると正直そこまで注目を集めていない、という実情もある。やはりターボがなくなったこと、外観が旧型とソックリなことなどが要因のようだ。
スバルはかつてからマイナーチェンジでも機関系や外観に大きな変更を伴うことが多く、スバルファンも「フルモデルチェンジ」には大きな期待を寄せていることの表われかもしれない。
新型フォレスターは上記のようにかなりこだわっている部分も多いため、きっと乗れば大きな差があることは間違いない。クルマは走ってなんぼ!! 今後の試乗記などに期待したい。
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