■これが最後のピュアエンジンWRX S4か!?
新型WRX S4を心待ちにしているファンも多いことだろう。電動化がレギュレーション的になりつつある今日で、もしかしたら最後の純内燃機関車になるかもしれないから。
2代目となった現行レヴォーグのセダン版とも言える新型WRX S4のトピックはエンジンが2L(FA20)から2.4L(FA24)になったこと。さらに現行レヴォーグと同じフルインナーフレームのスバルグローバルプラットフォームを採用したことだ。
そこでまだプロトタイプではあるが、試乗会場となった袖ヶ浦フォレストレースウェイで走りのパフォーマンスを確かめてみた。
まず気になるのは2.4Lエンジンだ。実は旧型にも比較試乗できたのでそのフィールの違いだ。ハッキリ言って旧型の2Lエンジンでも充分にパワーがありパンチも効いている。
それもそのはずスペック上はFA20型が300ps/40.8kgmというスペックに対して、新型FA24型は275ps/38.2kgmと発生回転数は同じでパワー、トルクともに下げられている。
FA24はFA20のボアアップバージョンだが、ボアピッチなど中身はほとんど新開発。燃費対策も含めた進化と見るべきなのだが、FA24のほうがピーキーさがなくコーナリング中のアクセル操作がかなりイージーだ。
これにひと役買っているのがSPTS(CVT)の進化だ。Sモード以上では完全に固定ギア変速となる。さらに「S#」ではよりアップシフトが速くなり、加速変速ショックも演出するのだ。だからFA24エンジンはまったく不満を感じさせない。
試乗当日は雨が降ったり止んだりという路面状況だったので、FA20はパンチがあるぶん直線加速は気持ちいいが、コーナリングでのコントロール性は難がある。
AWDのVTDシステムはアクセルワークひとつでアンダーにもオーバーにもハンドリングを変化させるので、アクセルコントロールに優れるFA24がハンドリングの楽しさを倍増してくれる。
もちろんエンジンだけでなくボディとサスペンションの進化も見逃せない。インナーフレーム構造によって隙間を感じさせない締まりの効いたボディとサスペンション。
電動ステアリングは2ピニオン式(レヴォーグと同じ)になり、STI Spоrt Rにはレヴォーグと同じZF製の減衰力可変ダンパーが採用されているが、バルブなどはWRX専用設計で、乗り味は明らかによりスポーティなハードサスだ。
そのRの走りは旧型モデルとは明らかに異なる。コーナーアプローチの初期応答から速く、コーナリング中の切り足しにもしっかりと反応する。アクセルОFFでのターンインではアンダーステアな操舵反応はなく、切り込んだぶん、意のままにコーナリングを始める。
ステアリング上のスイッチとセンターディスプレイからドライブモードを変更できるのだが、パワーコントロールがS#となるスポーツ+ではサスペンションはかなり締まり、スタビリティコントロールも最後はしっかりとスピンコントロールしてくれるのでウエットのサーキットでも気持ちよくスポーツドライブできる。
またドライブモードをコンフォートにセットすれば、しなやかな乗り味に変身する。
コンベンションダンパーのGT-Hにはフロントにリバウンドスプリングが採用されていて、こちらはRよりしなやかなサスペンションフィールだが、ハンドリングの本質は大きく変わることはない。
大型のセンターディスプレイなどはレヴォーグからのキャリーオーバー。室内静粛性も各段に向上していて、先進安全技術のアイサイトXを含めてADAS性能もアップ。後席スペースもホイールベースの延長により+25mmとなるなどより居住性も向上。ロングツアラーセダンとしてもしっかりと進化している。
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