各所に工夫が凝らされたインテリアは「お見事」
先代では、従来のメーター類の他に、ダッシュボードの中央上部にサブモニターがあったが、新型ではサブモニターを廃止。代わりにインパネの最上段には、10.5インチの大型ディスプレイオーディオが配置された。このレイアウトの方向性は、基本的にはヤリスやアクアと同じだ。コネクティッドといったインフォテイメントが一層重要となってきたことで、一等席にモニターが鎮座したかたちとなった。
その右側に、大きなスタートスイッチがあるのは意外だったが、元々スタートスイッチがあったステアリング右側後方には、常設のドリンクホルダーが新たに設定されており、優先順位はドリンクホルダーだった、ということだろう。
スタリングホイールは手触りがよく、非常に上質な印象。シフトノブは、ガソリン仕様ではゲート式だが、ハイブリッドではプリウスと同タイプのセンターリターン式(Dレンジに入れるには右へ倒して下に落とす)だ。シフトノブの左側にあるスペースにはスマホを立てかけるエリアが設けられていたり、助手席にはティッシュを置くスペースも。全体的にシンプルなレイアウトなので、直感的に使いやすい印象だ。
2列目のストレート超ロングスライドでは、これまで前後左右にもスライドしていたタイプから、前後方向のみに絞ったことで、サイドテーブルを展開していても動かせるようになった。シートレールに複雑な動きを持たせるよりも、シンプルな動きの方が誰でも使いやすい、という考えから決めたそう。シートフレームを設計しなおし、後輪のホイールハウスとのクリアランスをギリギリまで攻めたことで、実現できた。
また、バックドア開閉のスイッチが、バックドア側からボディサイド側に移動しており、バックドアの開き具合を見ながら開閉できるというアイディアも秀逸だった。担当者によると、バックドアは70cmくらい開けば、大抵の荷物は載せ降ろしできる。後ろのスペースが狭いところでは、横から操作するのが最適だと考えたそうだ。
さらにはスライドドアのユニバーサルステップ(助手席側のみ)や、フリーストップバックドアなど、工夫が凝らされており、軽い力で跳ね上げて、固定までできる3列目ワンタッチホールドシートの出来は、跳ね上げタイプの「最終形態」と言ってよいだろう。3列目を床下収納できるタイプもいいのだが、荷室下の広大な収納スペースがある分、コチラの方が便利かもしれない。補器バッテリーをエンジンルーム内に移動したことでハイブリッドでも収納スペースが丸空きとなったのは嬉しいところだ。
ライバルを圧倒する、驚異的な低燃費
パワートレインは、2.0リッター直列4気筒ガソリンエンジンと、1.8リッター直列4気筒シリーズパラレルハイブリッドの2種類。前者はハリアーなどにも使っているエンジンであり、ダイレクトシフトCVTを組み合わせることで、ガソリン車としてクラストプレベルのWLCTモード燃費15.1km/Lを達成する。だが、今回注目すべきはハイブリッドの方。ノア/ヴォクシーを頭出しとして、E-Fourを含めた電動パワーモジュールを、すべて新規開発したという。
トヨタ社内では「第5世代の新パワーユニット」と位置付ける本機は、モーター出力16%向上というバッテリー出力拡大と、徹底したユニット・制御の効率化によって、ダイレクトで心地よい加速フィールと、クラストップレベルの低燃費23.4km/L(WLTCモード燃費)を実現。ちなみに日産セレナe-POWERは18.0km/L、ホンダステップワゴンe:HEVは20.0km/L。これらが今後登場する新モデルで、どのくらいの燃費性能を実現してくるかは楽しみなところだ。
バッテリーに関しては、アクアで世界初投入したバイポーラ型ニッケル水素電池ではなく、従来型のリチウム電池を改良したものだという。パワートレイン製品企画部主査の杉山正隆氏によると、「(バイポーラ型も)候補としてあったが、質量(バイポーラよりも同容量で15kg軽量)、電気回生、そしてコストの面で比較した上で、従来のリチウム電池のほうが、新型ノア/ヴォクシーに適していると判断し、適材適所とした」とのこと。
さらに、ユニット刷新だけでなく、使用するモーターオイルの粘度特性も踏み込んで専用開発している。従来は踏み込まなかったところまで突っ込んで、徹底的につくりこんでいるようだ。
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