■ヴォクシーハイブリッドの新旧比較
次はヴォクシーのハイブリッドで新旧比較を行う。新型ヴォクシーハイブリッドS-Gの価格は、7/8人乗りともに344万円だ。先代ハイブリッドZSは334万7300円だから、新型のハイブリッドS-Gが9万2700円高い。
新型ヴォクシーハイブリッドS-Gには、プロアクティブドライビングアシスト、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシスト、サイド&カーテンエアバッグ(先代型のXは4万9500円でオプション設定)、8インチのディスプレイオーディオなどが加わる。パーキングサポートブレーキは、ヴォクシーZSについては先代型も標準装着されていた。
以上、装備の違いを価格に換算すると、新型ヴォクシーS-Gでは、20万円相当の機能と装備が加わっている。新型ハイブリッドS-Gの価格アップは、前述の9万2700円だから、ヴォクシーも新型になって買い得度を強めた。
ハイブリッドもWLTCモード燃費が向上しており、先代ヴォクシーハイブリッドZSは19.0km/Lだったが、新型は23.0km/Lだ。先代型から新型に乗り替えると、数値上は燃料代を17%節約できる。
■一見すると高めに思える価格だが…
このように新型ヴォクシー&ノアの価格は一見すると高めだが、機能や装備の違いも含めて新旧比較を行うと、さほど高まっていないことが分かる。
ミニバンは競争が激しく、2022年の4~6月にはステップワゴン、9~10月にはセレナもフルモデルチェンジを行う予定。そうなるとヴォクシー&ノアも値上げはできない。仮に値上げすると、後発のステップワゴンやセレナに買い得度で負けるからだ。
特にミニバンのユーザーは、ファミリー層が中心になる。子供が就学年齢に達していると、いろいろと日常的な出費も増える。クルマの価格もシビアに判断され、割高になると売れ行きに大きな影響を与える。従ってヴォクシー&ノアは、先代型と同様、価格を割安に抑えた。
ヴォクシー&ノアを購入する時は、まず標準ボディか、エアロかを決める。標準ボディはノアのみの設定でヴォクシーでは選べないから、必然的にノアになる。
標準ボディとエアロの選択は、好みに応じて決めればいいが、エアロの価格は標準ボディと比べて7~8万円の上乗せに抑えた。数年後の売却額(下取り額)はエアロのほうが有利だから、選択に迷った時はエアロを選びたい。
■割安感重視ならノアがオススメ
エアロを購入する時は、ノアかヴォクシーを選択することになる。
ヴォクシーとノア、同じグレード同士で比べると、ヴォクシーのほうが5万~7万円高い。ヴォクシーのフロントマスクを見ると、LEDヘッドランプとクリアランスランプを分離させるなど、外装の形状がノアよりも凝っている。
そこで価格も高まったと考えられるが、5万~7万円の開きは大きい。2021年の登録台数を1か月平均で見ると、ノアは標準ボディとエアロをそろえて3684台、ヴォクシーはエアロ(特別仕様車 煌III)だけで5840台であった。この販売格差を是正するため、ノアは価格を戦略的に安く抑えた。そうしないとアルファードとヴェルファイアのように販売格差が開き、ノアが廃止に追い込まれるからだ。
もともとトヨタが全店で全車を売る体制に移行した背景には、タンクを廃止してルーミーに統合したように、姉妹車を削減する目的も含まれていた。
ところがヴォクシー&ノアでは、両方ともに残して個性化を図り、共存させる狙いがある。従来の姉妹車関係を発展させ、幅広いユーザーを獲得するわけだ。
話を車種&グレード選びに戻すと、前述の通り「割安感」を重視するならノアを選んだほうがよい。
パワーユニットはノーマルエンジンとハイブリッドがあり、後者が割安になる。価格差は35万円に抑えられ、ノアS-Z同士で比べると、購入時に納める税額もハイブリッドは約13万円安い。従って実質差額は22万円に縮まる。
そこでレギュラーガソリン価格を1L当たり160円で計算すると、約6万kmを走れば実質差額の22万円を燃料代の節約で取り戻せる。新型ヴォクシー/ノアの1.8Lハイブリッドユニットは新開発されており、実用回転域の駆動力を向上させて走りの満足度も高めたから、ノーマルエンジンよりもハイブリッドのほうが買い得だ。
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