現行型が発売された2013年1月から5年半、毎年のように地道に進化を繰り返してきたアウトランダーPHEVだが、今回の進化はひと味違う! その新型の進化ぶりを、愛車として現行型(旧型?)を所有する国沢光宏氏に徹底チェックしていただいた。
(今回はマイナーチェンジとして2019年型に切り替わる。発表発売は2018年8月下旬、価格については多少値上がりする見込みだが8月中旬に発表される)
文:国沢光宏 写真:池之平昌信
初出:『ベストカー』2018年8月26日号
FMCに匹敵する今回のマイナーチェンジ
私は中期型のアウトランダーPHEVに乗っているのだけれど、満足度たるやすばらしく高い。なぜこんないいクルマが売れないのかと不思議に思うほど。三菱自動車のブランドイメージが悪くない海外では売れ筋モデルになっていることを考えると、やはり不正問題の影響なんだろう。
そんなアウトランダーPHEVが、大きなマイナーチェンジを行った。外観にあまり手を加えなかったためわかりにくいけれど、パワーユニットや走りの質感の進化はフルモデルチェンジに匹敵するレベル。実際、三菱自動車に予算あれば、外観も変えてフルモデルチェンジとしたかったんじゃなかろうか。
ほぼ電気自動車として使えるように
まずパワーユニットから味見しよう。一番大きな変更点は発電用のエンジンを2000ccから2400ccにパワーアップしたこと。併せて後輪モーターの出力も向上させた。Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと、前後モーターのパワーだけで走り出す。これは従来型もまったく同じ。
走行電池の容量が少なくなるまで電気自動車として走れる。今回、電池容量を10%増やしたため、電気自動車としての航続距離も10%程度増えたという。私のアウトランダーPHEVだとエアコン使わない時で航続距離45~50kmなので、マイナー後なら50~55kmといったイメージ。片道25kmまでなら電池だけで走れてしまう。
参考までに書いておくと、走行50kmに必要な電気料金は、夜間電力契約ならおよそ100円。安い!
しかもマイナーチェンジでパワフルになったため、電気自動車としての最高速は135km/hに向上(これまでは平坦地&無風で100km/h程度)。
従来型だと登り坂で加速した時など充分な電池容量があってもエンジンかかってしまったが、マイナー後は「ほぼ」電気自動車として走れる。これまで「もう少しレスポンスよければ最高なのに!」だった巡航状態からのアクセル全開加速も、相当満足できる状態になった。いいね!
電気を使い切ったら自動でエンジンで発電機を回すシリーズハイブリッドに切り替わる(電池残量あってもボタンでハイブリッドモードが選べる)。この時の燃費は、カタログ上だと従来型よりホンの少し悪化。ただ実際の走行モードに関して言えば、ほとんど変わらないようだ(むしろいい?)。
意外なことに排気量が大きくなったけれどエンジンの存在感(音や振動レベル)は薄くなった。エンジン始動してもけっこう静か。100km/h走行中に電池切れてハイブリッドモードになっても気付かない? 私が乗っている中期型さえ充分静かだと感じているため、皆さん体感できないかも。
パワーユニット以上に進化したのが走り。接着構造を大きく増やしたボディと、ダンパー径まで太くした足回りの改善、さらに4WDの駆動配分を大きく見直した結果、笑っちゃうくらい楽しく曲がるクルマになった。SUVだと思えないほど振り回せる。昔の三菱自動車が帰ってきた感じ。
乗り心地も中期型より改善された。個人的にはゴツゴツと硬いビルシュタインのダンパーを使った『S』より、ストローク感を出してきた『G』のほうが圧倒的に好ましく思う。自分で買うなら瞬時も迷わない。よく仕上がっているので「喰わず嫌い」せずディーラーで試乗してみたらいかがか。
このクルマのモデルチェンジのポイント
■エンジンが2000㏄から2400㏄へ排気量アップ
■搭載する後輪用バッテリーの容量を10%向上
■接着構造を増してボディ剛性大幅アップ
■足回りの改良によりハンドリング性能大幅向上
採点表(旧型を10点として採点)
ハンドリング:15
動力性能:11
乗り心地:12
安全性能:10
コストパフォーマンス:11
アウトランダーPHEV G Premium Package 主要諸元
全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
車両重量:1900kg
エンジン:直4+モーター
排気量:2359cc
最高出力:128ps/4500rpm
最大トルク:20.3kgm/4500rpm
WLTCモード燃費:16.4km/L
WLTCモード(EV走行換算距離):57.6km
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