■4種用意されたパワートレーンのトップグレードには後輪操舵までも
今回の新型RXで注目すべきは、豊富なパワートレーンバリエーションだ。ピュアガソリンターボモデルのほか、ストロングハイブリッド、プラグインハイブリッド、ターボハイブリッドを用意。
「多様なお客様の期待に応えるためできうるかぎりのパワートレーンを揃えた」というが、プラグインハイブリッドのさらに上級となるターボハイブリッドまで用意するとは、レクサス以外のメーカーがなせる技ではないだろう。
具体的には、2.4L 直4ターボハイブリッドを搭載したハイパフォーマンスモデルの「RX 500h」、2.5L 直4プラグインハイブリッドの「RX 450h+」、2.5L 直4ハイブリッドの「RX 350h」、そして2.4L直4ターボエンジンの「RX 350」。基本的にはAWD(e-FOUR含む)だが、RX350hとRX350にはFFモデルも用意されている。
なかでも、トップグレードに位置するRX500hには、フロントに高トルクな2.4L直4ターボエンジンと6速ATを、リアには高出力モーター「eAxle」を搭載。高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池を採用しており、効率的かつレスポンスのいい動力性能をもたらしてくれるそうだ。
エンジンとモーターの間にクラッチを配置することに加え、6速ATはトルクコンバーターの代わりにクラッチを採用し、モーターとトランスミッションの間に配置。状況に応じて、エンジンとモーターの使い分けや統合ができる機構を採用する。
また、先日公開されたレクサス初となるBEV専用モデル「RZ」に続いて、電動四輪駆動力システム「DIRECT4」も採用。緻密な四輪駆動力制御で、前後輪のグリップ力を最大限に活かし、車両姿勢のコントロールも行いながら、ダイレクトかつトルクフルで気持ちのいい、電動車の新たな走りを実現したという。
さらには、後輪操舵までも搭載した走りの仕様「F SPORT Performance」も設定されている。車速に応じて後輪を前輪と逆相/同相に最大4度まで転舵する「Dynamic Rear Steering(DRS)」を搭載したことで、低速では、コーナリング時の旋回性や取り回しのよさを実現し、高速域では高い車両安定性を実現する。
専用開発の21インチタイヤや、対向6ピストンブレーキキャリパーのフロントブレーキなど、SUVであるはずのRXがここまで武装されるとは、驚きを超えて感動させれらた。
■高剛性化や軽量化、ロードノイズ低減など、執念すら感じる改良ぶり
新型RXのプラットフォームは、GA-Kプラットフォームを改良したものを採用。改良の狙いは高剛性ボディと軽量化の両立、そして低床化だ。トレッドを前15mm、後45mmずつ拡幅したうえで、リア周りに大改修を施し、加減速時や旋回時のサスからの入力をしっかりと支えるねじり剛性の高いリアボディを実現。
さらには、フロントフェンダーのアルミ化、Bピラーには世界初となる2GPa(ギガパスカル)級の軽量ホットスタンプ材を採用するなど、従来型比で90kgの軽量化を達成。重心高も従来型RXから15mmも下げたという。
骨格接合は、おなじみのレーザースクリューウェルディング(LSW)や構造用接着剤に加え、短いピッチで溶接を可能とする短ピッチ打点技術を採用したことで接合剛性を高め、ステアリングサポートには一部の高級欧州車で見られる高剛性なアルミダイキャストを採用。よりリニアなステアリング応答性と、低振動特性を実現した。
サスペンションは、フロントはマクファーソンストラット式で、リアは新開発のマルチリンク式。ショックアブソーバーの配置とサスペンションメンバーのマウントブッシュ特性をチューニングし、発進/加速時の車両姿勢の抑制と、NVHを低減させている。
そのほか、エンジンフードの振動を抑制するツインロック構造や、高遮音タイプのフロントドアガラスの採用、マルチリンク式リアサスの最適骨格配置、吸音材の最適配置、減衰の高い接着剤と制振材の導入など、執念すら感じる徹底ぶりで、ロードノイズや風切り音を低減。SUVでありながら、走行中なのにほぼ無音に感じるレクサスLS並のロードノイズを達成していると思われる。
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