■何カ月も何年も何十年も見続けて
「デザイン耐久性」という言葉がある。『ベストカー』で長く連載を務め、Z32フェアレディZのエクステリアデザインなどを手掛けた故・前澤義雄さんから教わったフレーズだ。
「自動車は趣味性のある工業製品だが、同時に都市の中を走り、生活のなかで何十年も使われる実用品でもある。屋根のある会場でライトに当てられた姿をパッと見た際の印象など、市販車のデザインにとってはほとんど意味がない。何カ月も何年も何十年も見続けて、慣れたり馴染んだりしてやっと評価が下される。ただし、”初見”に意味はほとんどないが、それでも多少汲み取るとしたら、見た人の心が動いたかどうかだろう。それがプラス評価だろうがマイナス評価だろうが、それを見た人の心が何も動かないのであれば、そのデザインには力がないと言えるし、心が動いたのであればそこになんらかの価値があるといえる」
というようなことを、教わった。
考えてみれば、これまでの歴代クラウンの中にはデビュー直後に「えええっ!??」と思うようなデザインもあったが、発売後しばらくたつと「なんか……見慣れたらいい感じになったな……」というようなモデルがあった。
新型クラウンのデザインとコンセプトは、少なくとも実車公開時点で多くのクルマ好きの心を動かした。「Googleトレンド」で調べたところ、7月15日の発表以降、インターネット上で「クラウン」というクエリを検索している人はおよそ4倍以上に跳ね上がっている(そしてその議論はいまも続いている)。
これだけでもトヨタのクラウン戦略は当たったといえるだろう。
新型クラウンの世界初公開から今日(7/22)でちょうど一週間。今後、クラウンの(特にデザインやコンセプトの)評価がどう動いてゆくかを見守りつつ、なにより正式発売と公道での試乗を楽しみに待ちたい。
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