CX-5、CX-8とヒット車が続き、先ごろ世界初公開した次期型アクセラの評判も大変高い絶好調のマツダ。
そのマツダの日本市場におけるエース的存在、デミオのフルモデルチェンジが近い。ライバルはトヨタのアクア、ヴィッツ、ホンダのフィット、そして日産のノートと、各メーカー強力なラインアップを揃えるなかで、オリジナリティを発揮し続けるデミオが、「次の一手」を用意している。
それが、先般マツダが技術公開したレンジエクステンダーのロータリーエンジン搭載車だという。
デビューはスケジュールを考慮すると2020年。以下、当編集部がつかんだマツダ次期型デミオに関する新たな情報を加えて、整理してお届けしたい。
文:ベストカー編集部
ベストカー2019年1月10日号より
■純ガソリン、ディーゼル、「X」、そしてロータリー
マツダは昨年11月、ロサンゼルスモーターショーでマツダ3(日本名アクセラ)の市販型エクステリアデザインを世界初公開し、そこでこの次期アクセラにHCCI(予混合圧縮着火)技術を使ったSKYACTIV-Xを搭載する、と公表した。
次期アクセラは北米、中国、欧州と順次発表発売されてゆき、日本市場での正式発表は2019年夏頃と予想される。SKYACTIV-Xには小型モーターが組み合わされ、マイルドハイブリッド車として登場することも公表された。
これは圧縮着火とプラグ着火の両方を使う量産車世界初のエンジンで(マツダは「SPCCI/Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火」と呼んでいる)、これによりSKYACTIVエンジンはG(ガソリン)、D(クリーンディーゼル)、X(ガソリン圧縮着火+小型モーター)の3種類が揃ったことになる。
これだけでも凄いことだが、さらにマツダは「スモールカー革命」で独自の財産であるロータリーエンジンを使った新しいパワーユニットを開発中だ。
軽量コンパクトで回転がスムーズで振動の少ないロータリーエンジンの特性を生かした「レンジエクステンダーEV」で、ロータリーエンジンを駆動力ではなく発電専用に使うEV。エクステンダーとは「拡張する」という意味で、文字どおりEVの航続距離を「拡張する」ための発電機としてロータリーエンジンを使うシステムでピュアEVと違い、電池切れの心配がない。
2018年10月に行われた電動化技術の説明会で、マツダはこのシステムを発表。同時に「2019年にはプレス向けの試乗会を行い、2020年に市販化する」とも明言した。
そもそもロータリーレンジエクステンダーEVの開発は長期に及んでおり、5年前の2013年暮れにはプレスにその試作車を乗せる試乗会も開催されている。すでに充分な期間、準備は続けられているということなのだ。
この2013年の試作車は先代デミオにレンジエクステンダーEVのシステムを組み込んだもので、330㏄のシングルロータリーエンジンを縦に搭載。ロータリーのコンパクトさを存分に生かし、ロータリーエンジン、発電機、燃料タンクはラゲッジルームの下側に収まっていたが、2020年の市販化を目指す新ユニットもそのパッケージングを踏襲。つまり、このパワーユニットはコンパクトカーに最適なものということなのだ。
さて。2014年にデビューした現行デミオは2020年に6年目を迎える。
2013年登場のアクセラが2019年夏にフルモデルチェンジすることを考えても、次期デミオの2020年デビューは既定路線といってもいいほどのタイミング。
つまり、マツダが明言しているロータリーレンジエクステンダーEVの市販化時期とぴったり重なることもあり、このシステムが次期デミオに搭載される可能性は極めて高い。
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