2021年春、2030年に販売車両をBEVのみとする宣言をしたボルボ。そのボルボから、2022年1月に日本向け初の100%BEV「C40」が導入され、続けてベストセラーモデルであるコンパクトSUV「XC40」にもBEV仕様が追加となった。「完全電動化」への歩を着々と進めるボルボの40シリーズを自動車評論家 岡本幸一郎がレポートする。
※本稿は2022年10月のものです
文/岡本幸一郎、写真/VOLVO、ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年11月26日号
■BEVも内燃機関も40シリーズが進化!
作年春の会見で、ボルボは2025年までに販売車両の半数(日本では45%)をBEVとするとともに生産オペレーションでのクライメートニュートラルを目指し、2030年には完全にBEVのみとし、以降10年でバリューチェーンを通じて環境負荷をフラットにすると宣言した。
最近のボルボ車は、見た目があまり大きく変わることはなかったが中身は目まぐるしく変わっていて、着実に電動化を進めていた。
そんななか、日本向けで初の100%BEVとなる「C40」の導入に続いて、既存の「XC40」にもBEV仕様が追加された。
なかでもXC40は日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことでも知られ、日本におけるボルボの最量販機種でもあることから、気になっている人も少なくないと思う。
ボルボとしてはかなり個性的なことでも注目された内外装デザインは、登場からまもなく5年を迎えるとはいえ、ぜんぜん古さを感じさせない。
手頃なサイズながら車内の居住空間や荷室容量の広さが充分に確保されていて使い勝手に優れるのもポイントだ。
今回は試乗用として、BEVではXC40のシングルモーター仕様と、C40のツインモーター仕様が用意されていた。
両車では177psの差があるものの、街中を普通に走るぶんには、乗り比べてもあまり大きな違いは感じない。
試乗時は小雨で路面が濡れていたのだが、シングルモーター仕様は発進時にちょっと強めに踏むと簡単にホイールスピンするほどトルクフルだ。
ただし、車速域が高まるにつれて、ツインモーター仕様の伸びやかな加速が際立ってくる。さすがは400psオーバーだ。
ご参考までに、0-100km/h加速は7.4秒と4.7秒。WLTCモード航続距離は502kmと484kmでシングルモーター仕様のほうがやや長い。
これらと約100万円という価格差をどう考えるかが問題だ。
なお、BEV導入によりXC40のプラグインハイブリッドは廃止となったほか、この機にグレード名が新しくされたこともお伝えしておこう(具体的には、最上級モデルの「Ultimate」(アルティメット)と充実装備の「Plus」(プラス)の2グレードを基本とするラインナップへと刷新)。
C40は、ボルボのなかでスポーティなモデルを意味する「C」を車名とするだけあって、見た目も走りもスポーティだ。
それでいてXC40ほどではないにせよ、車内の居住性や乗り心地に不満に感じることのないよう配慮されているあたりも、さすがはボルボ。
唯一、後方視界の天地方向がかなり狭いので、最近よくあるデジタルルームミラーがあると助かるかなと思ったくらいだ。
XC40は48Vマイルドハイブリッドも試乗することができたのだが、これまた電動化の部分も含めて進化している。
エンジンにミラーサイクルを採用するなど大がかりな変更があったほか、モーターの活躍する機会が増えて、瞬発力が増してリニアで力強い走りを楽しめるようになっている。
さらには、感触としては燃費がずいぶんよくなったように感じたことも強調しておこう。
Googleと連携したインフォテイメントの使い勝手もよい。来るべき電動化の時代に向けて、ボルボがいかに本格的に取り組んでいるかがヒシヒシと伝わってきた。
●ボルボ C40 Recharge Ultimate Twin motor
・全長:4440mm
・全幅:1875mm
・全高:1595mm
・ホイールベース:2700mm
・車両重量:2150kg
・パワーユニット:前後2モーター
・最高出力:F)204ps R)204ps
・最大トルク:F)33.6kgm R)33.6kgm
・バッテリー容量:78kWh
・電費:484km
・価格:699万円
●ボルボ XC40 Ultimate B4 AWD
・全長:4440mm
・全幅:1875mm
・全高:1655mm
・ホイールベース:2700mm
・車両重量:1720kg
・パワーユニット:1968cc、直4ターボ+モーター
・最高出力:197ps
・最大トルク:30.6kgm
・WLTCモード燃費:14.2km/L
・価格:569万円
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