■これは和製マカンだと言ったワケ
走り出してすぐにステアリングの軽さを感じますし、アクセルをひと踏みすると、アクセルを踏んだ足にリニアに対応するレスポンスのよさと、エンジンを最大限回して、それにモーターの力を2割上乗せしたフィーリングです。
しかも大柄なSUVにありがちなコーナーでのフワフワ感=ロールが少ないです。アクセルにリニアに反応する加速フィールは3Lエンジンかと思うほどですし、コーナーでステアリングを切っていくと、トレースしていくこの感じは、ポルシェマカンに近いかも……と思いました。もちろん絶対的な速さやボディ剛性感は違いますが……。
走りをスポーツ優先に振った場合、乗り心地が気になるのですが、ZR-Vの乗り心地は上質です。試乗した川崎の産業道路には路面の悪いところもあり、そんな路面の時はさすがにコツコツ来ますが、胃がまさぐられるほどではなく、許容範囲内でした。
一方、1.5Lターボ(178ps/24.5kgm)のガソリン車のXは、e:HEVの後に乗ると、非力に感じます。アクセルは軽く反応しますが、踏み込んでいくとやや遅い。ステップ変速とされているCVTに関しては、それでも辛口に言わせていただければターボのラグなのか、半テンポほど少し遅いかなと思います。
1L、3気筒ターボのような騒がしさやガサツな回り方はあまり感じなかったですが、それでもちょっと物足りない感があります。受注割合がe:HEV9割は納得です。ただし、1460kgとe:HEV Xに比べ、100kgも軽いので軽快さはこちらほうが上です。
■試乗後にZR-Vの開発者たちにぶつけてみました
では、新型ZR-Vはどのような想いで開発したのか? 読者のみなさんにぜひ、これは言いたい、ということをZR-Vの開発責任者である小野修一さん(本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンター開発責任者)に直撃した!
新型ZR-Vのグランドコンセプトは、実用性や最新の先進安全性能を持ったうえで、2つの言葉がキーワードとなっている。
●異彩解放:スポーティなスタイリングと塊感のある力強さを、艶やかに融合したエクステリア。先進感と一体感を感じさせる格上のインテリア
●神経直結:意のままの走りを実現するパワートレインラインナップ。路面に吸いつき一体感のあるダイナミクスと車格を超えた快適性の両立。
この2つのキーワードを踏まえて語っていただこう。
「デザインと走りを融合させ、ホンダらしい神経に直結する、意のままに操る走りに対するこだわりを感じていただければと思います。異彩解放、神経直結に加えて、ZR-Vに乗れば一張羅(勝負服)のように羽織って、しなやかに軽やかに走る、そんなSUVを目指しました。
接地感にこだわり、コーナーでのロールやリバウンドを抑え、ハンドルをスパッと切ったところへスーッとノーズが入っていき、車重の重いSUVにありがちなリアがフワフワしてロールする嫌な感じはないと思います。特に接地感に関しては、スポーツカー好きの方だけでなく、むしろ女性のほうがいいかもしれません。安心感のある走りを感じていただけると思うからです。
接地感がいい=路面をわしづかみにするために、単にボディ剛性は固く方向にもっていくのではなく、しなやかにいなすボディ、シャーシに仕上げています。
e:HEVは和製マカン(ポルシェ)だと言っていただけましたが、ちょっとビックリしました。テスト車にマカンを用意し参考にさせていただきましたので。マカンはボディ剛性が高くスポーツ性に大きく振っていますが、ZR-Vにはホンダらしいハンドリングの軽快さ、しなやかさがあります。
各社さん、ミドルクラスのSUVを出されていますが、ZR-Vは、走りのよさと、デザイン性を融合させた個性を試乗していただいて、感じていただければと思います」。
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