消滅の噂を見事はねのけて登場したGT-R MY24を速攻試乗! フロントマスクが激変し、イメージ一新されたが、エンジンスペックを落とさず騒音規制に適合させた新開発のマフラーが最大のポイントだ!
※本稿は2023年6月のものです
文/松田秀士、写真/NISSAN、ベストカー編集部、撮影/佐藤正勝
初出:『ベストカー』2023年7月10日号
■今度は生き残った!! 奇跡の2024年モデル登場
GT-Rは日産が世界に誇るスーパースポーツカーで、日本車最強の名をほしいままにしてきた、日本人にとって特別なクルマだ。
しかしGT-Rは高性能がゆえにその歴史は規制との闘いで、古くはケンメリGT-Rが排ガス規制の前に消え去っている。そしてスカイラインとして最後のGT-RであるR34型も、2002年に排ガス規制に適合できずに消滅。
で、R35。規制内容こそ前述2台と違うが、新車外騒音規制に適合できずに2022年9月をもって生産終了となるのが確実視されていた。歴史は繰り返すのか、と危惧されたが、日産はマフラーを新開発し、パワーダウンさせることなく新車外騒音規制をクリア。
そう、GT-Rは死ななかったのだ。GT-Rが存続したことで、投機対象としていた人は中古車相場の大幅下落に苦しんでいるかもしれないが、世界のクルマ好きはみんなウェルカム!!
その最新のGT-R MY24を松田秀士氏が速攻試乗し、MY24の進化のポイントについて解説する。
■MY24は静か! 普通に足として使える快適性を誇る
もうないのでは? GT-Rもついに終わりか? と思われていたなか、MY24モデルが登場した。というのは2023年のオートサロンでの話。
あれから4カ月、やっと試乗する機会がやってきた。筆者は初代から歴代のR35GT-Rに試乗してきているし、スパ・フランコルシャンでのサーキット試乗会にも参加した。JARIではメーター読み321km/hの最高速も叩き出した。
そんな筆者の目に入ったMY24のGT-R。まずフロントマスクが変わっている。これまでグリルセンターに嵌め込むようにブラック塗装されていたバンパーが、上部の開口部とサイドバンパーと一体化されボディ同色化。威圧感は旧モデルのほうが上だが、少しお上品になった印象。
GT-R消滅説の根源は、排気音がデカすぎて新車外騒音規制に対応できないだろうと思われていたからだが、日産は見事に新規制をクリア。
で、その気になる排気音なのだが、広報車がずらりと並ぶ日産グローバル本社地下駐車場で旧型と2台並べて比較してみた。驚いたことに、確かに静かになっているのだ。
旧型はアイドリングからチューニングカーを主張するような不揃いなバーニングがあり、回転を上げると6発の太鼓をまくしたてて叩くようなバラつき。
これがワイルドで魅力でもあったのだが、新型は明らかに不揃いが勢揃いになり、そのままアクセルを踏み込んでも6発の調律をパーフェクトに揃えたようなまとまり感がある。
新開発のマフラーによってパワーは下げずに新車外騒音規制をクリアしたのだが、航空機エンジンのタービンブレードを参考に開発されたのだという。確かにスーパーカーらしさは旧型だろうが、新型の音には品がある。
じゃあ走りはどうなのか? という前にリアの意匠も変わっています。リアウィングのリアエンドがこれまでトランクリッドの位置だったものが、テールエンドまで伸びている。
ウィング面積はほとんど変わらないのだが、後方に移動したことでテコの原理でモーメントが大きくなりダウンフォースを増加させている。
昔のスーパーカーやル・マンカーなどは、やたらとオーバーハングが長かったり、リアウィングが超後方に伸ばしてマウントされていたのは、テコの原理でダウンフォースを稼ぐためだったのだ。
そのほかについてはデザインの変更はなく、足元にはゴールドの20インチRAYS製ホイールを装着している。イエローのブレンボ製ブレーキキャリパーも健在だ。
フロントサイドバンパー両サイドにハニカム状のデイタイムランニングLEDがなかなかお洒落だ。よく見ると前後バンパー左右両端のカナード状処理も少し長くなっている。エアロダイナミクスをさらに進化させているのだろう。
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