ストラトスやデルタでWRCを席巻したイタリアの名門ランチアが復活しそうだ。2024年2月、イタリアで開かれるミラノショーに、個性的なコンパクトカーの名で知られる「イプシロン」を再投入するのだ。はたしてどんなクルマ?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ランチア
■個性派コンパクトだったイプシロンがBEVとして大復活
伝説的なラリーカー「デルタ」が日本でもヒットしたランチア。長い歴史を持つイタリアの老舗ブランドだが、21世紀に入るとビジネス的に奮わず、同じグループに属するクライスラーの兄弟ブランド的な位置づけとなっていた。
しかし100年を超す名門の血は絶えなかった。2022年、ランチアを抱えるステランティスは自らの長期計画の中で、「ランチア」をBEV専用ブランドとすることを発表し、2024年にイプシロン、2026年にフラッグシップモデル、2028年にデルタを発売するとアナウンスしたのだ。
というわけで、2024年が間近に迫った2023年の師走、ランチアは1枚のティザー画像を公開した。映っていたのは「LANCIA」の文字が刻まれた自動車のフロントセクション。つまりこれが、新生ランチアの第1弾モデル「イプシロン」というわけだ。
イプシロンについての情報は、このカットと、このカットより2週間早く公開されたインテリアのクローズアップだけなのだが、落胆することはない。ランチアは今年春、「Pu+Ra HPE」というスタディモデルを発表しており、これこそが、イプシロンのプロトタイプと思われるからだ。
その「Pu+Ra HPE」だが、かつて個性派コンパクトカーとして名を馳せたイプシロンの面影はない。むしろラリーでも大活躍したストラトスのような2ドアクーペで、実際テールランプは、ストラトスを彷彿とさせる丸形のLEDを採用している。
■レクサスと競い合うプレミアムスポーツ?
いっぽうランチアとしてのアイデンティティも忘れていない。それが「カリス」と呼ばれるランチア伝統のT字型グリルを模したフロントマスクだ。
「Pu+Ra HPE」では細いLEDをYの字に組み合わせて未来のカリスを提案しているが、イプシロンのティザー画像ではこれがT字型になっていることが分かる。ランチアではこのフロントマスクを、今後登場するすべてのモデルに採用するとのことだ。
インテリアだが、「Pu+Ra HPE」の内装をみると、前述したイプシロンのクローズアップカットが、センターコンソール前端に設けられた丸いトレイだということが分かる。
実はイプシロン発売に先立って、ランチアはイタリアの高級家具メーカー「カッシーナ」との提携を発表している。ティザーカットにもカッシーナのロゴが映っており、イプシロンが豪華なレザー内装となることは間違いなさそうだ。
イプシロンの姿をまとめると、ボディ形状だけは「Pu+Ra HPE」から進化した4ドアモデルとなりそう。
車格的には、レクサスやジャーマン3と競いあうプレミアムコンパクトになるのではなかろうか。デルタやストラトスではなく、アウレリアやフラミニアといった1950年代のランチアが醸し出していたラグジュアリースポーツの世界観だ。
ともかく2024年2月、ミラノでイプシロンが姿を現す。電動化される新生ランチアの姿をしっかり見届けようじゃないか!
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