ラリーの名門が帰ってくる。コンパクトカー「イプシロン」を発表したランチアが、ラリーへの復帰を発表したのだ。しかも記念すべき参戦マシンには、かつてデルタ・インテグラーレでも使われた「HF」の名前入り。懐かしいマルティニカラーの試作車まで公開されたぜ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:LANCIA
■イプシロンに高性能の代名詞「HF」を設定
フルビアやストラトス、037、S4、デルタ・インテグラーレといったマシンで、ラリー界に君臨したランチア。その巨人が、再び野山を駆け巡る日がやってきた。まったく新しいラグジュアリーコンパクト「イプシロン」で、ラリーへ復帰することを発表したのだ。
もちろんランチアは、古くからのラリーファンへのサービスも忘れていない。復帰にあたっては、かつてデルタ・インテグラーレにも冠された高性能の代名詞「HF」の名称まで復活させた。しかも復帰発表と同時に公開されたイプシロンは、栄光の日々を彷彿とさせるマルティニカラーなのだ!
情報を整理すると、ランチアは市販のイプシロンにHFという高性能バージョンを追加する。こちらはフルエレクトリック仕様でモーター出力は240ps、0-100km/hを5.8秒でこなすという。
外観も専用サスペンションでローダウンされ、ワイドトレッド化がなされるというから、かつてのデルタのような「ノーマルとは別モノ」なモディファイが期待できそうだ。
いっぽうランチアは同じ名前のラリーカーをデビューさせるが、こちらは「ランチア イプシロン ラリー4HF」になる。「ラリー4」という車両区分からも分かる通り、こちらは前輪駆動のガソリンモデルとなり、1.2リッター3気筒ターボに5速MTを組み合わせて212馬力を発揮するという。
「なんだよずいぶん非力じゃないか」と思わないでほしい。その理由は後述する。
■2028年にデルタHFも復活!
ランチアのラリー復帰はファンにはたまらないニュースだが、前述したとおり「HF」の復活もマニアにはうれしい知らせだ。
そもそもHFとは、1960年に結成されたランチア車オーナーによるクラブの名前だった。
このクラブを母体として、1963年に「HFスクアドラ・コルセ・ランチア」というレーシングチームが作られる。中心人物のチェザーレ・フィオリオは、後のランチアワークスやF1スクーデリアフェラーリの監督も務めた重要人物だ。
以来HFは、ランチアのラリーマシンを象徴するアイコンとなった。黒い背景に白文字で書かれた「HF」の文字と、誰も止められない力を表す4頭の像のイラストは、フルビアやデルタ・インテグラーレに貼られて、ランチアの強さの代名詞ともなったのだ。
そんなHFのロゴが電動化の進む現代によみがえることは感無量だが、実はもっとすごいニュースがある。
ランチアは今回のイプシロンのラリー復帰に合わせて、将来のモデル投入にも言及した。それによれば2026年にガンマ、2028年にはデルタを復活させ、いずれのモデルにもHFモデルを設定するというのだ!
前段で「イプシロンを非力と思うな」といったのはこのためだ。イプシロンHFはあくまで将来のモデル(特にデルタ)を見据えたベースモデルであり、ランチアはこの先のガンマやデルタで、もっとパワフルな超ド級のモデルを投入するつもりなのだ。
ともかく今回の発表で、ランチアがノスタルジーやブランドイメージだけでラリーへ復帰するのではないことが分かった。ランチアの本気に期待だ!
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