「昭和の車」が意外な健闘ぶりを見せている。
現在、日本で売れている車といえば、トヨタのプリウスやシエンタ、そして日産のノートなど、平成以降に誕生したモデルばかりだ。
そうしたなか、2019年9月17日に発売された新型カローラは発売後1ヵ月で約2万2000台を受注。
そして、昨日11月7日に自動車販売協会連合会(自販連)が発表した10月の販売台数ランキングでは、シリーズ合計台数ながら、なんと登録車1位を奪還! 11年ぶりにカローラが販売No.1に返り咲いた。
このほか三菱のデリカやトヨタのランドクルーザーなども平成以降の人気車に交じって堅調に売れている。生き残った「昭和の車」が根強く支持される理由とは?
文:御堀直嗣
写真:TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】今も生き残る「昭和の車」どれだけ変わった?? 初代と現在
上位は平成以降の車が多数!「昭和の車」売れ行きは?
フルモデルチェンジしたトヨタ カローラを含め、昭和生まれの車が、自動車販売協会連合会発表の販売ランキング50位までで、奮闘している姿がある。
たとえば、トヨタ ランドクルーザーやカムリ、三菱 デリカD:5、そしてホンダ シビックだ。とはいえ、カムリやシビックは9月の販売統計で、1500~1100台/月なので、何とか踏ん張っているというところだろうか。
一方、カローラやランドクルーザー、デリカD:5は、2000台以上を売っており、国内における採算分岐点以上の台数を確保しているといえそうだ。そこに、一つの境界線が見えてくる。
カローラとランドクルーザー、そしてデリカD:5は、同類の車種のなかで唯一無二の存在であり、生き残るに値する商品性を備えている。
カローラの競合だった日産 サニーはもはや販売されておらず、その代替といえたティーダももはやない。
ランドクルーザーにも、かつては日産 サファリ(海外ではパトロールとして販売されている)という競合があり、また三菱にはパジェロがあった。
だが、サファリはすでに販売されておらず、パジェロも国内の安全規定に適合できなくなるため販売を終えることになっている。
生き残る「昭和の車」なぜ根強く支持されている?
デリカD:5は、ジープやパジェロで築き上げてきた三菱の4輪駆動技術を投入したミニバンであり、これほど本格的な4輪駆動性能を備えたミニバンはほかにない。
そのうえでこの3台は、唯一無二の存在であることに安住せず、進化を続けている。
カローラは、新型で3ナンバーとなったことについて議論があるかもしれないが、大衆車として生まれたカローラをより格好よく、人々の目に留まる造形にするため3ナンバーを選んだと開発者たちは語る。
同時にまた、現行プリウスで採り入れられたTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を利用することで、走行性能や乗り心地を大幅に改善した。
ランドクルーザーも、単に悪路走破性にたけた4輪駆動車というだけでなく、舗装路での走行安定性を高めることに努め、内装などに上級仕様を設けるなど、高級な4輪駆動車としての持ち味を加味してきた。
そして、デリカD:5は、顔つきを中心とした造形を刷新し、街乗りで快適な車種を追加するとともに、さらにクルーンディーゼルエンジンの動力性能と騒音対策を大きく改善するなど、日々快適に乗れるミニバンという要素を加えてきた。
伝統ある車種であるからこそ、誕生の志は維持しながら、いまという時代に即した適合を行っている。名前は昭和でも、令和の商品力を備えるのが、これら3台であろう。
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