■SKYACTIV-X の競争力をエンジン価格差などからチェック
そこで次は3種類のエンジン価格差を算出する。プロアクティブツーリングセレクション同士で比較すると、2Lガソリンに比べてディーゼルは27万5000円高く、SKYACTIV-Xはさらに40万7407円上まわる。ガソリンとSKYACTIV-Xの間には、68万2407円の開きがある。
SKYACTIV-Xは圧縮着火を利用する画期的なエンジンだが、構成するメカニズムも多い。エアーサプライシステムと呼ばれるスーパーチャージャー、モーター機能付き発電機を使うマイルドハイブリッドシステム、クリーンディーゼルが採用するようなガソリンパティキュレートフィルター、高燃圧噴射システムなど、高コストな機能がズラリと装着される。
さらに今まで用意されていなかった新しいエンジンだから、量産効果はまったく見込めない。このようなメーカー側の事情もあり、SKYACTIV-Xは同排気量のガソリンエンジンに比べて価格が約68万円上乗せされた。CX-30にも同様のことが当てはまる。SKYACTIV-Xはスペシャルティなエンジンで、一般的な推奨グレードにはなり得ない。
そうなると選ぶべきは、2Lガソリンかディーゼルだ。価格は前述のようにディーゼルが27万5000円高いが、プロアクティブツーリングセレクション同士の比較で、購入時に納める税額はディーゼルが8万円安い。従って実質差額は19万5000円に縮まる。
そしてWLTCモード燃費は、ガソリンが15.6km/Lで、ディーゼルは19.8km/Lだ。レギュラーガソリンの価格が1L当たり145円、軽油が125円として計算すると、1km当たりの走行コストはガソリンが9.3円、ディーゼルは6.3円になる。ディーゼルは1km当たり3円の節約が可能で、19万5000円の実質差額を取り戻せるのは、6~7万kmを走った頃だ。
ユーザーのエンジンフィーリングに対する好みに大きな差がなければ、ディーゼルが買い得になる。1年間に1万kmを走ればエンジン価格差を6~7年で取り戻せて、なおかつ最大トルクも27.5kgm(1600~2600rpm)に高まり、ガソリンの1.4倍に達するからだ。ディーゼルは経済的で動力性能も優れている。
クリーンディーゼルは、今でもクリーンエネルギー自動車として環境性能割(自動車取得税の後継となる税金)が非課税になり、自動車重量税も免税だ。加えて税額の違いで軽油価格もガソリンより安いため(軽油の税抜き本体価格はガソリンよりも高額だ)、ディーゼルは出費を抑えられる。
駆動方式の違いにも注意したい。マツダ3の場合、2Lガソリンエンジンだけは前輪駆動の2WDのみで4WDは設定されない。そうなると4WDが欲しいユーザーの多くは、ディーゼルを選ぶ。
■BCお薦めの最もお買い得なグレードは、これ!!
ディーゼルには、3種類のグレードを用意した。このなかで最も買い得なマツダ3のベストグレードは、XDプロアクティブツーリングセレクションだ(価格は291万1741円)。
XDプロアクティブツーリングセレクションは、DXプロアクティブに、渋滞時の運転を支援するクルージングトラフィックサポート(XDプロアクティブのオプション価格は5万5000円)、運転席の電動調節機能などを含むドライビングポジションサポートパッケージ(6万6000円)、スーパーUVカットガラスやCD/DVDプレーヤーなどのセットオプション(4万9500円)という合計17万500円相当の実用装備を加え、価格アップは12万円1000円に抑えた。
300万円近い価格設定は高めに受け取られるが、マツダ3・XDプロアクティブツーリングセレクションには、それに見合うエンジンと安全&快適装備が搭載される。マツダ3の買い得グレードと考えていいだろう。
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