第46回東京モーターショー2019には、市販予定のさまざまなプロトタイプ(試作車)が出展された。その中でも特に注目されたのがトヨタのグランエースであった。
トヨタはアルファード/ヴェルファイアでLクラスミニバンマーケットを席巻し、圧倒的な販売をマークしている。さらに大きいグランエースを投入してきたが、グランエースの新車紹介をするだけでなく、アルファード/ヴェルファイアとは何が違うのか? 日本で受け入れられるのか? といった点を渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:TOYOTA、MERCEDES-BENZ
【画像ギャラリー】アルファード/ヴェルファイアを超える超高級ミニバンのグランエース
グランエースは商用車ベース
全長が5300mm、全幅は1970mm、全高は1990mmに達する大柄なミニバンで、同じトヨタのアルファード&ヴェルファイアとは素性が違う。グランエースは、タイやフィリピンで販売される海外版ハイエースをベースに開発されたからだ。
商用車ベースのミニバンだから、駆動方式は後輪駆動だ。4WDは用意されない。ボディの下側に耐久性の高いラダーフレームを備え、ここにエンジン、サスペンション、ボディなど架装している。
サスペンションは前輪がストラット、後輪はトレーリングリンクを備えた車軸式だ。スプリングはすべてコイルとなる。
ボディが大柄でホイールベース(前輪と後輪の間隔)も3210mmと長いが、後輪駆動で全幅はワイドだから、前輪の最大舵角を大きく確保できた。そのために最小回転半径は5.6mに抑えている。
ディーゼルの大トルクが魅力
エンジンは直列4気筒2.8Lクリーンディーゼルターボだ。ランドクルーザープラドが搭載するのと同じタイプで、最高出力は177馬力(3400回転)、最大トルクは46.1kg-m(1600~2400回転)となる。典型的なディーゼルエンジンで、実用回転域の駆動力を高めた。尿素水溶液を使い、窒素酸化物の浄化性能を向上させている。
最大トルクの数値は、ガソリンエンジンに当てはめると4.5L並みで、車両重量が2740~2770kgという重いボディに適する。トランスミッションは6速ATだ。
プレミアムは2×3の豪華6人乗り
グランエースで注目されるのは、広くて豪華な室内だろう。全長がアルファード&ヴェルファイアと比べても350mmほど長く、大容量の室内を確保した。
グレードは車内の造りに応じて2種類が用意され、乗車定員が6名のプレミアム(価格は650万円)と8名のG(620万円)がある。
注目されるのは上級のプレミアムだ。2人掛けの3列シートだから、乗車定員は6名になる。2列目と3列目には、アルファード&ヴェルファイアの2列目と同様のエグゼクティブパワーシートを装着した。
このシートは両側に固定されたアームレストを備える豪華な造りで、座面の下側からはオットマンが持ち上がり、膝から先をサポートする。オットマンやリクライニングの調節は電動式だ。格納式のテーブルも備わり、2/3列目の両方とも快適に座れる。
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