JAFによると、2019年1月1日~1月31日の1か月間で、ドライバーから「エンジンルームに動物が入り込んでしまった」との要請があった件数は27件。このうち“猫”が25件だったとのこと。
暖かくて狭い場所を好む猫にとって、エンジンルームは居心地がいい場所。しかも、猫は気に入った場所には何度も戻ってくる習性があるため、一度お気に入り認定されてしまうと、ちょっと困ったことにも。
動物の命と愛車を守るため、私たちは、どういった対策ができるだろうか。
文:吉川賢一、写真:日産、三菱、いらすとや、ベストカー編集部
なぜ動物はエンジンフードに入るのか?
人の往来の少ない場所に駐車した車のエンジンフードは、動物にとって居心地が良い空間だ。
狭く入り組んでいて外敵から身を隠しやすく、雨風もしのげ、安心して過ごす事が出来てしまう場所なのである。
寒い日に暖を取りに来ることもあるし、暑い日の日差しを避けるようにエンジンルームに潜ることも。静かな環境で、落ち着いて眠ることができる場所を求め、入り込むこともある。
ちなみに、エンジンフードに潜りやすい動物は、猫のほかには、ヘビ、ネズミであるが、中には鳥が巣を作っていたという事例もある。
エンジンフードに入れない対策は?
クルマは、下からエンジン回りを見上げると、サスペンションやエンジン、ステアリングラック、トランスミッションなど、車のパーツが密集していているものの、エンジンの熱を逃がすために、僅かながら隙間がある。
意味のある隙間なのだが、このわずかな隙間から、動物たちは入ってしまう。
ちなみに、大人の猫には狭すぎて入るのが難しいため、エンジンフード内に入ってしまう猫の9割を占めるのは子猫のようだ。
対策1「猫バンバン」
最も手軽に出来るのはボンネットを叩くこと。
通称「猫バンバン」。日産自動車は、2015年から公式Twitterで「#猫バンバン」を発信、猫も人も安心して過ごせる社会を目指し、オリジナルロゴデータを無償配布するなどして、普及に努めている。
ただし、強く叩きすぎるのは逆効果。怖がって、奥に入り込んでしまう可能性があるため、あくまでも動物に知らせるイメージで、やさしく叩くのがコツだ。
ちなみに猫バンバンすることで、居心地が悪く、嫌な場所として猫に認識してもらう、という効果もある。駐車場や近所で猫をよく見かけるという方には、ぜひ心がけてもらいたい。
対策2「超音波発生器を使う」
ここ数年、車の動物侵入対策で注目されているのが、超音波発生器だ。
この超音波発生器が有効な理由は、人間にはない動物の体のつくりにある。例えば猫の場合、人間が14k~20kヘルツ(Hz)程度の音までしか聞き取れないのに対して、猫は100kヘルツ程度の周波数まで聞こえる。
つまり、20k~100kヘルツの音は、人間が聞きとれず、猫は聞き取ることができる。その周波数の音(超音波)を大きな音で流すことで、嫌がって近づかないようにするのが、超音波発生器だ。
ただし機種によっては、耳がいい人には聞こえてしまうということもある。超音波発生器の周波数の下限が18kヘルツの機種の場合、いわゆるモスキート音が、人によっては聞こえてしまう。
せっかく購入しても、モスキート音が聞こえるようでは、他人に迷惑をかけてしまうので、購入時は注意が必要だ。
少し値段が高め(10,000円程度)の機種であれば、高い周波数帯の音を発生させることができるので、検討してみてほしい。
ちなみに、動作条件は機種によって多少異なるが、イグニッションをOFFにしてから一定時間経過すると起動し、定期的に動作を繰り返すというのが一般的な機能だ。
クルマを長期間使わない場合は、バッテリー負荷の軽減のため、次にクルマを使う時まで機能をオフにする等が望ましい。
さらには、超音波発生器は、エンジンフードへの侵入対策だけでなく、自宅の庭への侵入も防げるところもポイントだ。小動物によって、庭に糞をされて困っている等、そういった現象もあるならば、超音波発生器の使用はおすすめだ。
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