圧倒的にPHEVの車種が少ない
プリウス、クラウンスポーツ、RAV4、ハリアー、アルファード&ヴェルファイア、レクサスRX、NXなどPHEVを豊富にそろえるトヨタでも、2024年の売れ方を車種別に見ると、PHEV比率が最も高いプリウスでも販売比率は11%だ。
ハリアーは、ノーマルガソリンエンジンが37%、ハイブリッドは61%を占めるが、プラグインハイブリッドはわずか2%に留まる。その他マツダCX-60、アウトランダー、エクリプスクロスがあるが、PHEVは圧倒的に少ない。
日本では前述のとおり、現状、PHEVの販売比率はEVの1.6%よりも低い、わずか1.16%ではつなぎ役としてなりうるのか。なぜ、PHEVは売れないのだろうか? 販売店に尋ねると以下のように返答された。
「自宅に充電設備を持てる人は多くはありません。またハイブリッドでも燃費が優れているから、PHEVに充電して走っても、ガソリン代をあまり節約できないのです。そのためにPHEVを購入するのは、環境対応に力を入れる法人のお客様、環境技術に関心の高い個人のお客様が中心で、売れ行きはあまり多くないのです」。PHEVは、都合に合わせて充電できるのに、実際にはEVと同じく自宅の充電設備が必要と考えられているようだ。
それなら海外はどうか。トヨタが2024年に国内で販売したPHEVは2万台だったが、海外では13万3000台であった。最も多いのは北米の7万5000台で、次は欧州の5万1000台だ。
このデータを見ると、北米や欧州ではトヨタのPHEVが好調に思えるが、実際はそうともいえない。2024年にトヨタは、充電機能を装着しないハイブリッドを北米で106万台、欧州でも77万5000台を販売したからだ。
そうなるとトヨタの北米と欧州におけるPHEVの販売台数は、ハイブリッドの7%に留まる。トヨタの日本国内における2%よりは多いが、PHEVは、海外でもハイブリッドの好調な販売に追い付いていない。
この状況を見る限り、最近になって電気自動車の売れ行きが下がった代わりに、PHEVが急増するとは考えにくい。そしてEV販売が伸び悩む背景には、国によっては、必要なユーザーに行き渡った事情もあるだろう。
特にクルマの使い方が以前と大きく変わることを望まないユーザー、つまりクルマを1か月に1回程度の給油によって乗り続けたい場合、充電機能のないハイブリッドは電動車の中では最も馴染みやすい。そうなると当分の間、好調に売られる電動車はハイブリッドで、PHEVが少しずつ売れ行きを増やし、EVは一定の台数が安定的に売れる状態が続くだろう。
HV/PHEV/EVの販売比率を見る上で大切なことは、日本メーカーの場合、現時点でPHEVやEVの車種が少ないことだ。これから車種が充実すれば、売れ行きも増える可能性がある。
特に日本国内では、EVもPHEVの選択肢が欠乏している。国内で販売されるトヨタブランドのEVはbZ4X、レクサスブランドはRZとUX300eだけだ。EVに力を入れる日産でも、乗用車はサクラ、リーフ、アリアに限られる。EVを用意しないメーカーも多い。
その一方で輸入車は、テスラやBYDを筆頭にEVに積極的で、メルセデスベンツやBMWでも車種が豊富だ。そのために2024年に国内で新車として販売されたEVの内、輸入車が約40%を占めた。そこに先に述べたサクラの約40%を加えると約80%に達する。今の国内の電気自動車市場は、複数の輸入車とサクラだけで成り立っているのだ。
今後、PHEVやEVが販売ランキングの上位を独占することはないと思うが、現状の販売台数はあまりにも少ない。これからはPHEVやEVの選択肢を増やし、ニーズに応じて選べるようにすることが大切だ。
トヨタ車のユーザーがEVに興味を持っても、選択肢がbZ4Xだけでは、売れ行きが伸び悩んで当然だ。さまざまなサイズと価格、カテゴリーに、プラグインハイブリッドや電気自動車を投入して欲しい。トヨタは2026年にEVの販売台数を150万台に増やすとしており、ラインナップの充実が急がれている。
【画像ギャラリー】PHEVってハイブリッドとEVのいいとこどりってホント? 写真でチェック!!!(5枚)画像ギャラリー







コメント
コメントの使い方昨年世界1周旅行に行って来ました。
そこで感じたのは、
・駐車場の一番良い場所に充電設備を備えた駐車場がある事
・道路を駐車場として使用しているヨーロッパ各国では道路にもEV専用駐車場がある事。
などを感じました。
ヨーロッパ諸国都市部(パリ・フランクフルト・ロンドン等)に1戸建ては殆ど存在しないため日本と環境はあまり変わらないと思います。
やはりインフラ整備・各種優遇策の違いかと思います。
車体の値段が下がると、売れる可能性は高い。アメリカのロスの大火の時に、テスラの電気自動車で逃げられない人が多くいた。PHEVであれば、ガソリンで車で逃げて、別の場所で給電できるという使い方ができる。また、外部への電気の供給も可能たせから、価格が下がることが必要。
日本の自動車市場は、トヨタ独占(7割位)ですからね。そのトヨタがまともなevつくれてないから、当然日本全体で世界に遅れる。
十年前にわかってたことですよ。
何を今更
昔からのお客さんでアウトランダーPHEVに乗っている(生粋の三菱党で過去の車は全部三菱のSUV)人がいますが、2回目も3回目の車検でもトランクスペースに地面に触れた形跡もないド新品みたいな充電ケーブル積んでる人がいるなぁ。聞いたら外部充電はしないみたいです。面倒だとか・・・アウトランダーHV出したら売れる?
大量のCO2を出し希少金属を消費し、環境と児童労働に負荷を強いるBEVが、エコの観点では失格なら
PHEVはその1/10の負荷があるため、1/150以下と桁の違うHVにエコ目的で勝つには、桁違いの燃費性能を示さねばなりません。現実には不可能です
ですから性能的にはまだしも、総合的にはHVの完全上位互換とは言えず、むしろ環境負荷や必要な技術的には下位互換です
ただ、現日本では補助金出るので買いやすい