EVオワコンへ!? [PHEV]はEVへのつなぎ役になるのか? 日本の販売比率はたったの1.16%の現実 ハイブリッドじゃダメなのか???

圧倒的にPHEVの車種が少ない

2025年1月31日に追加されたアルファードPHEV。エグゼクティブラウンジのみに設定され、HEVに対し183万円プラスの1065万円となる
2025年1月31日に追加されたアルファードPHEV。エグゼクティブラウンジのみに設定され、HEVに対し183万円プラスの1065万円となる

 プリウス、クラウンスポーツ、RAV4、ハリアー、アルファード&ヴェルファイア、レクサスRX、NXなどPHEVを豊富にそろえるトヨタでも、2024年の売れ方を車種別に見ると、PHEV比率が最も高いプリウスでも販売比率は11%だ。

 ハリアーは、ノーマルガソリンエンジンが37%、ハイブリッドは61%を占めるが、プラグインハイブリッドはわずか2%に留まる。その他マツダCX-60、アウトランダー、エクリプスクロスがあるが、PHEVは圧倒的に少ない。

 日本では前述のとおり、現状、PHEVの販売比率はEVの1.6%よりも低い、わずか1.16%ではつなぎ役としてなりうるのか。なぜ、PHEVは売れないのだろうか? 販売店に尋ねると以下のように返答された。

 「自宅に充電設備を持てる人は多くはありません。またハイブリッドでも燃費が優れているから、PHEVに充電して走っても、ガソリン代をあまり節約できないのです。そのためにPHEVを購入するのは、環境対応に力を入れる法人のお客様、環境技術に関心の高い個人のお客様が中心で、売れ行きはあまり多くないのです」。PHEVは、都合に合わせて充電できるのに、実際にはEVと同じく自宅の充電設備が必要と考えられているようだ。

アルファードPHEVの給電装置
アルファードPHEVの給電装置

 それなら海外はどうか。トヨタが2024年に国内で販売したPHEVは2万台だったが、海外では13万3000台であった。最も多いのは北米の7万5000台で、次は欧州の5万1000台だ。

 このデータを見ると、北米や欧州ではトヨタのPHEVが好調に思えるが、実際はそうともいえない。2024年にトヨタは、充電機能を装着しないハイブリッドを北米で106万台、欧州でも77万5000台を販売したからだ。

 そうなるとトヨタの北米と欧州におけるPHEVの販売台数は、ハイブリッドの7%に留まる。トヨタの日本国内における2%よりは多いが、PHEVは、海外でもハイブリッドの好調な販売に追い付いていない。

 この状況を見る限り、最近になって電気自動車の売れ行きが下がった代わりに、PHEVが急増するとは考えにくい。そしてEV販売が伸び悩む背景には、国によっては、必要なユーザーに行き渡った事情もあるだろう。

 特にクルマの使い方が以前と大きく変わることを望まないユーザー、つまりクルマを1か月に1回程度の給油によって乗り続けたい場合、充電機能のないハイブリッドは電動車の中では最も馴染みやすい。そうなると当分の間、好調に売られる電動車はハイブリッドで、PHEVが少しずつ売れ行きを増やし、EVは一定の台数が安定的に売れる状態が続くだろう。

 HV/PHEV/EVの販売比率を見る上で大切なことは、日本メーカーの場合、現時点でPHEVやEVの車種が少ないことだ。これから車種が充実すれば、売れ行きも増える可能性がある。

 特に日本国内では、EVもPHEVの選択肢が欠乏している。国内で販売されるトヨタブランドのEVはbZ4X、レクサスブランドはRZとUX300eだけだ。EVに力を入れる日産でも、乗用車はサクラ、リーフ、アリアに限られる。EVを用意しないメーカーも多い。

 その一方で輸入車は、テスラやBYDを筆頭にEVに積極的で、メルセデスベンツやBMWでも車種が豊富だ。そのために2024年に国内で新車として販売されたEVの内、輸入車が約40%を占めた。そこに先に述べたサクラの約40%を加えると約80%に達する。今の国内の電気自動車市場は、複数の輸入車とサクラだけで成り立っているのだ。

近い将来、PHEVモデルやEVが販売上位を占める日が来るのだろうか?
近い将来、PHEVモデルやEVが販売上位を占める日が来るのだろうか?

 今後、PHEVやEVが販売ランキングの上位を独占することはないと思うが、現状の販売台数はあまりにも少ない。これからはPHEVやEVの選択肢を増やし、ニーズに応じて選べるようにすることが大切だ。

 トヨタ車のユーザーがEVに興味を持っても、選択肢がbZ4Xだけでは、売れ行きが伸び悩んで当然だ。さまざまなサイズと価格、カテゴリーに、プラグインハイブリッドや電気自動車を投入して欲しい。トヨタは2026年にEVの販売台数を150万台に増やすとしており、ラインナップの充実が急がれている。

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