デュアリス(2007~2014年、一世代で消滅)
2007年に誕生したデュアリス(海外名:キャシュカイ)は、ヨーロピアンテイストのある質実剛健としたデザイン、比較的小柄なボディ、優れたNVH、そしてしっとりした走りを実現していたクロスオーバーSUVであった。
デュアリス廃止は、日産の戦略的撤退だったと筆者は考えている。
兄弟車のエクストレイルとの顧客の食い合いになり台数を分割されるよりも、国内は前型から評価の高かったエクストレイルへ一本に絞ったほうが、メーカーとして販売台数増に貢献できる。
エクストレイルに販売の基軸をおいたおかげか、エクストレイルの国内販売はその後も順調で、2018年には4WD SUVの国内販売台数NO.1を達成している。
下のクラスにはジュークがあったことも、日産としては安心感があったのだろう。筆者は、この判断は正解だったと考える。
ラシーン(1994~2000年、一世代で消滅)
日本車としては珍しく、時間がたつほどに味の出るクロスオーバーSUVラシーン。
ボディに傷がついて錆が出たとしても、返ってその緩さがカッコよく見え、ラシーンは絶版から20年も経つが、絶版後に価値が落ちるどころか、上がるようなブランドとなった。
このようなブランドは、自動車メーカーとしては財産である。
このラシーンを含め、日産は過去にBe-1などパイクカーと呼ばれるクルマを何台か出しているが、現在は、そのどれもが販売終了となってしまっている。
1990年前後にヒットしたパイクカーシリーズは、そのデザインやレトロな雰囲気によって、若者達を虜にしていた。総生産台数を限定するといった売り方も話題になった。
つい先日、スバルが555台限定で、WRX STI EJ20 Final Editionを発売し、応募が殺到していたが、
このように、期間限定特別モデルとして売り切り販売するニッサンのパイクカーシリ―ズとして継続していたら、今でも通用していたのでは? と考える。
ボディステッカーのような小手先の変更では通用しないであろうが、このパイクカーシリーズの終了は失敗だったと筆者は考える。
ちなみに、2019年の現在でもラシーンを専門とした中古車店がある。
購入されるお客様は、このラシーンの持つシンプルなキャンバス感を、現代風のオシャレと解釈し、ライフスタイルに落とし込んでいるようで、シンプルにスチールホイールで乗るのが流行りだという。
日産はSUVを売るのがそれほど上手くないのでは?
日産はSUVに限らず、売るのが下手だと筆者は思っている。(※販売店は一切悪くない)。
ジュークのような突然変異のコンパクトSUVや、デュアリスの様に走りの質の高いSUV開発は得意でも、小まめなマイナーチェンジで商品力を磨きなおして、最期まで売るという姿勢が弱かったのは、非常に残念なところだ。
そのため他社車メーカーに付け込まれ、せっかく発掘した枠を取られていく事の繰り返しだ。
日産が手をかけて育てる行為をもっとしていたら、今とは違った状況が起きていたかもしれない。
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